ニュース 商業・サービス 作成日:2016年11月24日_記事番号:T00067616
台湾産業ココがスゴイ台湾の至る所で目にするコンビニエンスストアだけでなく、スーパーマーケットの人口当たり店舗数も日本を上回ると先日のワイズニュース「スーパー全土で2千店突破、店舗密度は日本の2倍以上」(会員限定https://www.ys-consulting.com.tw/news/67393.html)」でお伝えしました。では、スーパーの中でも最も店舗数を伸ばしている美廉社(シンプルマート)をご存じでしょうか。
住宅街にすっかり溶け込んでいます(YSN)
1千店目標、全聯の翌年に
台湾で店舗数が最も多いスーパーは、青い看板の全聯福利中心(Pxマート)です。2位はガイドブックにもよく取り上げられ、日本人観光客にお馴染み、赤い看板に黄色い文字の頂好超市(ウェルカム)…だったのは2011年までのお話。
シンプルマートが12年に2位に浮上し、今年9月末時点で499店と、過去5年で294店の純増、なんと2.4倍に増えました。スーパー全店の28.7%増、全聯の54.6%増をも大きく上回る伸び率です。
大通りや繁華街、観光地にも出店している全聯やウェルカムと違い、シンプルマートは住宅街などの路地裏に、コンビニのような小じんまりとした店舗を出しています。そのため、日本人だけでなく、台湾人でも店舗数2位と知らない人がいるほどです。
テレビコマーシャルもよく流れているため、知名度の高い全聯は、08年から生鮮食品に注力し、店舗数を順調に伸ばし、来年1,000店を目指しています。一方、シンプルマートは現在533店のうち、生鮮食品取扱店はわずか50店足らず。今年末に560店、来年750店、18年に1,000店と、高い成長目標を掲げていますが、今後も全聯の成長カーブについていけるのでしょうか。
伝統市場と相性抜群?
そこで、野菜などの生鮮食品をどこで購入するのかと、台湾人に質問してみました。20代の大学生は「母親が(野菜や果物、精肉、鮮魚を販売する)伝統市場で購入している」、40代のサラリーパーソンの女性は「自宅の近所にスーパーがないので、会社帰りに路地に出ている露天販売で買っている」との回答。40代の自営業の女性は、「自分と同じ世代はスーパーで購入するけれど、母親の世代は伝統市場で買う」と話してくれました。
彼女らの話を総合すると、スーパーは農薬がたくさん使われているとの心配があるので、時間に比較的余裕のある専業主婦や一定以上の年齢層は、自分の手にとって目で見て選ぶことができる伝統市場を好む一方、働いている人は時間節約のために生鮮食品も日用品もまとめて買えるスーパーを利用することが多いようです。
そう言われると、台湾では日本以上に伝統市場をよく見かけますし、いつ訪れても大勢の買い物客でごった返しています。台北市市場処に問い合わせたところ、台北市には伝統市場が公設だけで51あり、他にも数は把握できていない民設の伝統市場がたくさんあるとのこと。
ちなみに、シンプルマートの台北市内の店舗は72店です。食材は毎日、伝統市場で購入し、加工食品や日用品だけシンプルマートで購入する家庭が一定数存在するのではないでしょうか。
近所なら重い物も
経済部統計処の2015年商品別販売統計をみてみると、日本のスーパーは食品や飲料類の販売が70.9%を占めますが、台湾のスーパーでは食品が46.8%、飲料類が15.9%で合計62.7%と若干低く、家庭用品が23.3%と幅を利かせています。
シンプルマートはあえて生鮮食品をメーンにせず、約30坪とコンビニ並みのサイズの店舗に、牛乳など飲料、菓子類をはじめとした加工食品、洗剤などの日用品を中心に品数は3,500点ほど。牛乳、お米、油、しょう油など、重くて自宅まで持ち帰るのが大変な商品を少人数用サイズで販売しているのが特徴です。
徒歩でも持ち帰れるサイズです(YSN)
店舗を訪ねてみると、来店客は絶えませんが、皆さっと目的の買い物を済ませていました。シンプルマートは、コンビニ以上の値ごろ感とコンビニ未満の品ぞろえが、「安・近・短」で買い物できるので、かえって便利なのでしょう。
ワイズメディア 青木樹理
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