ニュース 電子 作成日:2016年12月21日_記事番号:T00068137
台湾産業ココがスゴイ台湾を代表する大企業、ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が今月5日、新竹科学工業園区(竹科)に博物館「台積創新館(TSMCミュージアム・オブ・イノベーション)」オープンと、ワイズニュース「TSMC博物館、竹科で5日から一般公開」(会員限定https://www.ys-consulting.com.tw/news/67762.html)でお伝えしました。半導体メーカーが博物館?パン工場やビール工場、台湾のパイナップルケーキ工場なら最後に試食や試飲、手作り体験が楽しめて、販売促進につながりますが、半導体を消費者が購入することはまずありません。一体どうして台積創新館を設立したのでしょうか。
台湾高速鉄路(高鉄)新竹駅からタクシーで15分ほどで台積創新館に到着しました(YSN)
半導体を身近に
そこで先週末、台積創新館を訪れました。案内ガイドはベネッサさん。館内の3エリアを説明してくれました。
第1エリア「半導体とは」に到着すると早速、「ノートパソコンには半導体がいくつ搭載されていると思いますか?」と質問が飛んできました。ノートPCには10個以上、スマートフォンには14個以上、自動車には101個以上の半導体が使われているとのこと。こうした質問やゲームを通じて、半導体は身近な存在だと気付いてもらうそうです。
私たちの生活に半導体を使った電子製品がすっかり溶け込んでいることがゲームで楽しく学べます(YSN)
さらに、半導体の進歩のおかげで1990年代以降、デジタルカメラの写真、動画の水準がどれだけ向上したのかが分かる展示装置が用意されています。約30年前と比べることで、画質の粗いゲーム画面が懐かしい大人も、きれいな画像が当たり前の子供も、半導体の進歩を実感することができます。
ゲームも従来はタッチしてから反応するまで0.5~1秒かかりましたが、今や触ればすぐに反応します。一方、半導体のサイズはすっかり小さくなりましたとベネッサさんが説明してくれました。
レーシングゲームの動きも滑らかになり、観客までくっきり見えるようになりました(YSN)
第2エリア「TSMCとは」では、半導体産業の陰の立役者、TSMCの1987年の誕生からの歴史を知ることができます。工業技術研究院(工研院)院長だった張忠謀(モリス・チャン)董事長の当時の写真や直筆の書類が展示されています。TSMCの顧客や製品が一覧で分かる大画面があり、顧客のメッセージ動画も視聴できます。世界中の電子製品ブランドや半導体メーカーの、TSMCへの厚い信頼が実感できますよ。
第3エリア「張董事長の経歴とその素顔」では、張董事長の学生時代の日記や作文を初公開。「家に帰るとキャンディーやクッキーをむしゃむしゃ食べています」などと奥様が話す動画もあり、家庭での張董事長を知ることができます。
張董事長へのインタビューコーナーもあります。仕事や家庭に関する質問を選択すると、大画面の左側に質問者の写真と質問が現れ、張董事長が回答するという仕組み。「人類の進歩にはイノベーションが必要で、人や企業の成功にもイノベーションが必要」など、張董事長の考え方に触れることができます。
張董事長がやさしい口調で語りかけてくれます(YSN)
もっと張董事長に聞いてみたいことがあれば、自由に質問を登録することもできますよ。いつの日か、張董事長の回答がインタビューコーナーに追加される可能性があるそうです。
モリスはアイドル
来場者に感想を聞いてみました。まずは30代と見受けられる女性5人組。「私達にとってモリスはアイドルだから♡」え?どゆこと?!実は台中で働くTSMCの従業員で、いつもは遠い存在の張董事長と半導体産業をより深く理解するためにやって来たそうです。
お次は中学生の兄妹2人。「お父さんに連れられて来ただけ。悪くないけど、まあまあだよ」とスマホのゲームを続けています。「スマホにも半導体が使われてるって知ってた?」と尋ねると「う~ん、なんとなく」。冷めた返事でしたが、大きくなれば、世界中の電子製品にTSMCの半導体が使われていることに驚くことでしょう。もしかすると、TSMCで働いているかもしれませんね。
さて、台中市にもTSMC寄贈の国立自然科学博物館「半導体の世界」があります。TSMCはどうして台積創新館を設立したのかベネッサさんに尋ねました。「TSMCのことは台湾人なら誰でも知っていますが、一体何を作っていて世界にどんな貢献をしているのか理解している人はそれほど多くありません。実は身近な半導体と、半導体を作るTSMCを、大人にも子供にも知ってもらいたいという願いが込められています。」
台積創新館は入場無料、事前予約(https://www.tsmcmoi.com/ch/bookOnline_pickDate)が必要です。入場は1回に最大15人。中国語か英語の案内ガイドによる説明が約30分、その後は自由行動で所要時間は約1時間半です。日本語は今のところありませんが、少人数制で混み合わず、じっくり説明を聞くことができますので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
ワイズメディア 青木樹理
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