米中対立が続き、台湾海峡の緊張も高まる中、米国連邦議会で「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会（中国特別委員会）」の委員長を務めるマイク・ギャラガー下院議員（共和党）率いる超党派の議員団が22日訪台した。ギャラガー下院議員は、5月20日に総統に就任する頼清徳・副総統（民進党）と会談した際、今回の訪台は「もし中国が台湾を侵攻すれば、必ず失敗する」ことを示すためで、米国は常に台湾とともにあり、自由と民主主義を守るために協力したいと語った。ラジャ・クリシュナムルティ下院議員（民主党）は、米国はどの武器を台湾での共同生産できるか検討可能で、例えば、現在供給不足になっている155ミリ榴弾砲（りゅうだんぽう）の弾薬や、抑止力のための兵器は台湾生産が可能だと語った。23日付中国時報などが報じた。

対中タカ派として知られるギャラガー下院議員（左）とクリシュナムルティ下院議員（22日＝中央社）

　クリシュナムルティ下院議員は、台湾は155ミリりゅう弾砲生産で米国のパートナーとなる潜在力があると語った。また、抑止力のための兵器も選択肢で、生産できれば、世界の兵器の供給ひっ迫も緩和できると述べた。

　台湾の国防部軍備局生産製造中心第202工場では115ミリりゅう弾砲の弾薬を生産しているとされ、台湾で弾薬を生産して米国に供給することは実現可能なようだ。

　155ミリりゅう弾砲の弾薬は、ロシアが侵攻しているウクライナに対して欧米が主に供給しており、米国の生産が追い付かなくなっている。

　ギャラガー下院議員は、米国が台湾に売却を決めつつ、納入が遅れている地上発射型対艦ミサイル「ハープーン」について、保管している在庫の200発を台湾に優先的に納入すべきだと語った。

　米国防総省は今年1月、初の国家防衛産業戦略を発表し、海外のパートナーと、軍事産業のエコシステム（ビジネスの生態系）を構築したいと説明していた。

武器供与、バイデン政権13度目

　米国防安全保障協力局（DSCA）は同日、台湾に対し戦術データリンク「リンク16」アップグレード計画と関連機器を7500万米ドルで売却する計画が国務省に承認されたと発表した。バイデン大統領が就任した2021年以来、13度目の台湾への武器供与だ。

　リンク16は、台湾軍の作戦指揮のブレーンとして既に数年稼働しており、台湾は先進のリンク22導入を希望していた。

権威主義に対抗

　ギャラガー下院議員らは24日までの3日間、台湾に滞在する。22日午前、蔡英文・総統、頼・次期総統と次期副総統の蕭美琴・前駐米代表と、会談した。

頼・次期総統（前）は22日総統府で、蕭・次期副総統（右）とともに、ギャラガー下院議員（左）と面会した（22日＝中央社）

　ギャラガー下院議員は蔡・総統との会談で、中国は台湾の友好国に対し、経済的利益を利用して、台湾と断交し中国と国交を結ぶよう働き掛けているが、米国は決して傍観せず、中国に対抗するインド太平洋経済枠組み（IPEF）を推進していると述べた。米国はミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国の3国と結んでいる自由連合盟約（COFA）で、確実に3国への援助を行うと語った。

　ギャラガー下院議員は、中国の権威主義拡張は、台湾海峡の平和と安定に対する最大の脅威だと指摘した。超党派議員団は権威主義に対抗し、中国の策略は失敗に終わることを証明すると表明した。

　南太平洋の島国、ナウル共和国は1月15日、「一つの中国」原則を理由に、台湾と断交し、24日に中国と国交を回復した。台湾の外交部は、中国と台湾の資金援助を天秤にかけ、中国を選んだと指摘した。蔡英文・政権が2016年5月に発足して以来、断交は10カ国目で、台湾と外交関係がある国は12カ国となった。

ギャラガー下院議員（左）は22日午後、2日に立法院長に就任した国民党の韓国瑜・立法委員（右）を訪問した（22日＝中央社）

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