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《台湾有事》金門沖の中国漁船転覆死事件、和解交渉が決裂(トップニュース)/台湾


ニュース 政治 作成日:2024年3月6日_記事番号:T00114067

台湾有事

《台湾有事》金門沖の中国漁船転覆死事件、和解交渉が決裂(トップニュース)/台湾

 中国福建省アモイ市に近い台湾の離島、金門県の周囲に台湾側が設定した「禁止・制限水域」(領海、接続水域に相当)内で2月14日、漁を行っていた中国の漁船が、台湾の海洋委員会(海委会)海巡署の取り締まりから逃れる際に転覆し、中国人船員4人のうち2人が死亡した事件を巡り、海巡署は5日、中国側の代表団と15回目の話し合いを行ったが、和解に至らなかった。遺族は同日、台湾側から謝罪すらないと吐き捨て、中国に帰国した。事故当時の映像がなく、事実関係の認識や賠償金で双方が折り合わず、両岸(中台)の溝が深まっている。6日付中国時報などが報じた。

/date/2024/03/06/00kinmen_2.jpg海委会の管・主任委員(右)と海巡署の周美伍・所長(左)は4日、立法院で報告、答弁した(4日=中央社)

 中国側の代表団は5日午後2時の船で中国に帰国した。停留許可は6日までだった。

 中国側の代表団の団長を務める福建省泉州市の台湾事務弁公室の李朝暉・副主任は、当時の映像を何度求めても、台湾側から提供がなく、事実関係の発表がなければ、これ以上話し合っても意味がないと語った。李・副主任は、台湾側の代表団が3日に金門を離れてから音沙汰がなく、民進党当局に誠意が感じられないと述べた。

 中国側の代表団の曹栄山・晋江市紅十字会(泉州市の病院)秘書長は、遺族は真実を知り、謝罪と責任、賠償を求めているだけなのに、海巡署は当初、中国の漁船が蛇行して転覆したと説明していたが、その後、船尾がぶつかったと説明、次には何度かぶつかったと説明し、最近は衝突はなかったと主張するなど、政治的に事実をねじ曲げていると非難した。

事実確認が前提

 海委会の管碧玲・主任委員は5日の立法院の答弁で、事故当時の事実を記録した映像がなく、遺族に真相を説明できないとして、社会に対して謝罪した。

 陳建仁・行政院長は、死者が出たことは遺憾だが、台湾は民主主義の法治国家で、検察が証拠に基づき捜査し、事実が明らかになってから、謝罪すべきことは謝罪し、賠償すべきなら賠償すると説明した。

 海巡署の陳泗川・金馬澎(金門県、連江県、澎湖県)分署長は、台湾側は遺族に対し、まず見舞金を1人当たり10万人民元(約200万円)渡そうとしたが、受け取りを拒否されたと語った。

 海巡署は、中国側は話し合いの中で、台湾が間違いを認めて謝罪することなど、台湾の法律にそぐわない要求をしたため、和解に至らなかったと説明した。台湾としては非常に遺憾で、今後も最大の誠意を持って話し合いに応じ、早期の和解を望むと語った。

主権問題で中台緊張

 中国は、台湾と中国の事実上の停戦ラインとされる台湾海峡の中間線の存在を認めず、アモイ市と金門県の間に禁止・制限水域は存在しないと主張しており、漁船の取り締まりは中国の問題と考えている。これらは国家の主権に関わるため、話し合いを続けることは困難だ。

 国民党の牛煦庭・立法委員は、中国漁船転覆事件の影響で、両岸(中台)関係の緊張が高まる可能性があり、既に海洋委員会の問題ではなく、陸委会や国防部が対応すべきだと主張した。

 

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