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《台湾有事》領域侵犯は「第一撃」、国防部長が反撃示唆【図表】(トップニュース)/台湾


ニュース 政治 作成日:2024年3月8日_記事番号:T00114117

台湾有事

《台湾有事》領域侵犯は「第一撃」、国防部長が反撃示唆【図表】(トップニュース)/台湾

 邱国正・国防部長は7日の立法院(国会に相当)外交国防委員会で、「第一撃(先制攻撃)」の定義は発砲から空海域の侵犯に変更してあり、台湾軍は第一撃があったと見なせば、抵抗・反撃する権限があると述べた。既にこの状況に近く、一つでも対応を間違えれば、偶発的衝突が起こると懸念していると語った。2月14日に中国福建省アモイ市に近い台湾の離島、金門県の周囲に台湾側が設定した「禁止・制限水域」(領海=12海里、接続水域=24海里に相当)内で漁を行っていた中国の漁船が、台湾の海洋委員会(海委会)海巡署の取り締まりから逃れる際に転覆し、中国人船員2人が死亡した事故の後、中国海警局(CCG)は18日、周辺海域での巡視活動を常態化すると表明し、中国の巡視船が断続的に禁止・制限水域に侵入している。8日付自由時報などが報じた。

/date/2024/03/08/00qiu_2.jpg邱・国防部長は、軍の目からみても両岸(中台)関係はギリギリの状況で、毎日心配で眠れないと吐露した(7日=中央社)

 邱・国防部長は8日、第一撃の定義は就任(2021年2月23日)後すぐに変更しており、ペロシ米下院議長(当時)の訪台(22年8月2~3日)後に無人機(ドローン)が金門県に出現した際も、そのように対応したと語った。弾丸でなくドローンが侵入し、台湾軍が撃墜した場合、台湾軍が第一撃を仕掛けたのではなく、相手の第一撃への対応だと説明した。

「今までにない緊迫状況」

 邱・国防部長は7日、立法院外交国防委員会で、国防部の活動を報告した。

 邱・国防部長は、最近の(海巡署の)衝突で、両岸(中台)関係はますます緊迫しており、一つでも対応を間違えれば火種となりかねないと述べた。台湾側が戦火を起こすことのないよう、慎重さが必要と述べた。

 邱・国防部長は、両岸(中台)が軍事的に緊張しているといえるのは、今までなかったことが起こっているからだと述べた。例えば、(台湾と中国の事実上の停戦ラインとされる)台湾海峡の中間線を認めないと以前は言っていなかったのに口に出すようになっており、中国の軍機や艦艇が中間線を越え、防空識別圏(ADIZ)に侵入することで、政治的な不満を表明していると指摘した。国防部も軍人も戦争を望んでいないが、万一開戦となれば逃げることはないと述べた。

グレーゾーン攻撃が拡大

 中国の艦艇が禁止・制限水域に侵入したり、漁具を持っていない「漁船」が侵入したりといった明らかな「グレーゾーン」攻撃にどう対応するか立法委員に問われ、邱・国防部長は、台湾軍は緊張を煽らないよう静観しているが、中国はそれをいいことに徐々にエスカレートしていると指摘した。回避できなくなれば、応戦するしかないが、これは台湾から仕掛ける「第一撃」ではないと語った。

米軍と軍事演習

 邱・国防部長は、中国の軍事進攻を想定した年1回の大規模軍事演習「漢光」で、今年米軍を招くと説明した。ただし、米軍の部隊は駐留しないと語った。今後は米軍との訓練を増やす方針で、人数の増加や、参加部隊の格上げなどは検討すると述べた。

 今年の漢光演習の兵棋演習(軍事シミュレーション)は8日間の予定で、例年の5日間より長い。敵情に大きな変化があったためかと立法委員に問われ、邱・国防部長は、敵は常に変化しており、軍は対応しなければならないと回答した。

「軍拡競争ではない」

 邱・国防部長は、敵がはるかに強大なため、財政も考慮しつつ、軍備を強化しなければならないが、軍備拡張競争ではないと語った。

 中国は5日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、今年の国防予算を前年比7.2%増の1兆6655億人民元(約34兆円)と発表した。台湾の24年の防衛予算は4400億台湾元(約2兆円)で、中国の17分の1だ。

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 米国議会調査局(CRS)の台湾の防衛と軍事に関するレポートによると、台湾は17年以降、防衛予算を増やしており、20~22年は米国の対外軍事融資(FMF)枠組みでの軍事支援先の1位だった。

 

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