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14年10大ニュース!(1位)


ニュース その他分野 作成日:2014年12月27日_記事番号:T00054659

月間5大ニュース

14年10大ニュース!(1位)

 【1位】食品業界の信頼崩壊、頂新の食用油事件

 「味全」や「康師傅」など多くの有名食品ブランドを傘下に擁する頂新国際集団(頂新グループ)が飼料用、工業用油脂で食用油を製造販売し、暴利を得ていたことが10月、明らかになった。出荷先の食品メーカー、販売店は廃棄処分や商品撤去に追われ、消費者は嫌悪感をあらわにし、食用油に限らず頂新グループのあらゆる製品・サービスに対する不買運動に発展した。台湾では2011年の可塑剤事件、13年の無水マレイン酸添加事件など、業者のモラルの低さに起因した食品汚染事件が続いてきたが、頂新のケースは大手有名企業ですら利益のために食の安全を無視していた実態が明らかになった最悪のものといえる。


12月15日、審理に出廷する魏応充前董事長(中)。「コストより品質」の原則を貫いてきたと強弁した(中央社)

 衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)は問題製品の出荷先235社のリストを公表し、安全が確認できるまで販売を停止するよう求めた他、違法工場を一掃するため全面調査を展開した。食品メーカーの責任や罰則を大幅に強化するため、立法院では食品安全衛生管理法改正案が可決された。さらには、財政部が頂新グループに対し台北101からの出資引き揚げを迫る異例の事態にまで発展した。

 頂新グループは発覚から数日後に謝罪会見を開き、台湾食用油事業からの撤退を表明、11月末には本業の食品、流通業に専念すると宣言し、12月初旬に台北101の持ち株売却契約を発表した。

魏応充前董事長、全面否認

 頂新グループで味全食品工業などの董事長を務めていた魏応充被告(57)は10月末、彰化地方法院検察署から食品安全衛生管理法違反、詐欺罪などで起訴され、懲役30年が求刑された。彰化地検を含め5県市の地検から同日起訴された関係者は、飼料用油の輸入先、ベトナムのダイハインフック(大幸福)社の台湾人責任者、楊振益容疑者を含む15人に上り、不正利得は合計38億3,000万台湾元とされた。

 魏前董事長は11月末の初公判で「知らなかった」と起訴事実を全面否認した。頂新グループは12月18日、「司法による審理中で、世間は勝手な判断をしないでほしい。ベトナムから輸入した原料は全て食用として通関手続きを踏んでいる」と声明を発表し、争う姿勢を見せた。

飲食店に打撃、泣く泣く閉店も

 頂新グループの出荷先のうち、食品最大手の統一企業(ユニプレジデント)は11月下旬、彰化地検に対し頂新グループを刑事告発した。即席麺やセブン−イレブンのおでんなどの売り上げが落ちたとして、50億元以上の損害賠償を請求する方針も明らかにした。

 大手企業の他、夜市(ナイトマーケット)の飲食店、パイナップルケーキ店やベーカリーまで影響は広がり、売り上げが3~5割減少し、閉店に追い込まれる中小規模店舗も出た。

海外にも輸入制限広がる

 一連の食品事件による影響で、TFDAの公表リストを基にした台湾製食品の輸入制限は一時11カ国・地域に上り、今も日本、中国、香港など5カ国・地域が続行している。経済部の試算によると、今年の食品輸出額は22億元で、台湾の生産額は102億元減少する見通しだ。

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