ニュース 政治 作成日:2015年6月5日_記事番号:T00057371
ニュースに肉迫!来年1月の総統選で、国民党は洪秀柱副主席(67、立法院副院長、女性)が出馬した方が、朱立倫主席(53、新北市長)よりも有利──。こうした世論調査が3日付中国時報に掲載され、世間を驚かせた。民進党の蔡英文主席と戦った場合の比較で、洪副主席は支持率27.3%と、朱主席を4ポイントも上回ったのだ。同党の候補者選定が混迷する過程で、朱主席が男を下げ、洪副主席が女を上げたことが如実に示された結果だった。
洪副主席は「トウガラシ」という、舌鋒の鋭さによく似合ったニックネームを持つ(中央社)
昨年の統一地方選挙で惨敗し党が危機的状況にある中、朱主席をはじめ、呉敦義第一副主席(67、副総統)、王金平副主席(74、立法院長)ら大物たちは皆総統選への立候補を渋り、党内予備選挙への参加を見送った。最もリーダシップを発揮すべき立場の朱主席は、新北市長の任期4年を全うするという選挙公約を盾に不出馬の意向を再三示し、支持層に失望が広まった。
責任感ある姿勢に共感
こうした中、最初から立候補を明言して堂々と政見を語り、予備選で唯一立候補に必要な署名数を集めた洪副主席は評価がうなぎ上りだ。洪副主席は当初、総統候補クラスと目されておらず、予備選への参加動機として「党内民主主義の強化」を挙げていたことからも、自身が公認候補となる可能性はないと考えていたことが分かる。だが、苦境にある党を救おうと立ち上がる、今の国民党指導者に最も求められる姿勢ががぜん支持層の共感を集めている。
筆者は前々回の台北市長選で彼女の演説を直接聞いたことがある。「どのような人物がどのような末路をたどるのか、われわれははっきり見届けた」と、汚職で投獄された陳水扁前総統を例に台湾独立派を激しく批判する内容で、性格の強い女性幹部という印象だった。最近、バラエティ番組に出演して、学生時代にラブレターをもらった際、誤字に我慢できず赤ペンで直したというエピソードを披露しており、正しさにこだわる真っすぐな個性がうかがえる。ちなみにずっと独身で通してきた。
蔡主席と史上初の総統選での女性対決を期待する声もある(中央社)
対中傾斜は馬総統以上
だが、そんな洪副主席が実際に党公認候補になった場合、蔡民進党主席に勝てる可能性は非常に低い。「対中傾斜」の度合いが馬英九総統よりもさらに強いと目されるためだ。
中台関係は、「一つの中国、それぞの解釈(一中各表)」の「1992年の共通認識」から、「両岸(中台)は共に中国全体の一部」という解釈を双方が表明する「一中同表」へと段階を進め、平和協定を結ぶべきというのが彼女の主張だ。馬総統でさえ、最初の08年の選挙では統一派のイメージを払拭(ふっしょく)するために、中南部を自転車で回ったりホームステイをしたりと「台湾派」であることを必死でアピールする必要があったのに、こうした対中姿勢では今の台湾では当選は不可能だろう。
民意調査で排除か
洪副主席が公認候補になるためには、来週末に行われる最終関門の民意調査で支持率30%以上を獲得することが条件だ。
この調査は、本人の支持率だけでなく、他政党候補者(蔡民進党主席)、および党内有力者(朱主席、王副主席ら)との比較支持率も対象になる。国民党指導部は当初、「比較調査85%、本人支持率15%」の割合で最終の数字を出すとの方針を打ち出し、露骨な「洪外し」とみられていたが、5日午前、協議の結果「比較50%、支持率50%」で行うことに落ち着いた。これにより洪副主席がぎりぎりで予備選を突破できる確率が高まったと報じられているが、果たしてどうだろうか。
筆者は、結局は朱主席か王副主席のどちらかが指名される流れになるのではないかと予想している。その場合、一連の過程で評価を高めた洪副主席は女性票獲得が見込めることもあり、有力な副総統候補となり得るだろう。
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