高雄では時折朝晩にスコールのような猛烈な大雨に見舞われていますが、皆さまのお住まいの地域はいかがでしょうか。

　さて、今回紹介するのは、日本人が経営する関西風の味付けのおでんが食べられる店、「吟ＺＡ（ぎんざ）」です。高雄市苓雅区にあります。オーナーは三浦正樹さんで、店は今年で約５年です。

オーナーの三浦さん（左）と高品総経理（右）

　「吟ＺＡ」をご紹介いただいたのは、高雄鞋材の高品佑二総経理です。高雄鞋材は1969年に高雄輸出加工区に靴のかかとの芯の専門工場として台湾鞋材を設立。台湾域内販売向けに86年に高雄の大寮区に高雄鞋材を設立、93年には高雄鞋材が台湾鞋材を吸収合併して現在に至ります。靴の部品を作る専門工場として原料をドイツ、イタリア、スペインなどから輸入し、高雄で加工して東南アジアの国々に販売しています。

具材はほぼ自家製

　「吟ＺＡ」のこだわりとして、おでんに使われる具材はほぼ自家製です。もちろん高雄で仕入れることのできないものは輸入品を使用しますが、具材で一番使用されるすり身はできる限り自家製です。台湾でもちくわ、はんぺん、さつま揚げなどは調達できますが、添加物が多いなどの理由で自家製にこだわり、調理はオーナー一人で行っています。そのため朝早くから市場で納得した食材を仕入れ、午後から調理しています。メニューは季節や仕入れの具合で変わってきます。

　また料理は全て注文を受けてから作ります。

　なお、おでんの味付けは、薄口しょうゆがベースで少し甘めに仕立てた関西風です。

お薦めはごぼう天・はんぺん・大根

　お薦めはまず、こだわりのすり身を使ったごぼう天（60台湾元）です。関西風の薄味ですが、味がしっかりと中まで染みており、ボリュームもあります。シャキシャキのごぼうの食感と天ぷらの少し柔らかい歯応えのハーモニーが良いですね。

手前左からごぼう天、つみれ（70元）、はんぺん、大根

　はんぺん（60元）も手作りです。ボリュームたっぷりで食べ応えがあります。大根（70元）も程良い味加減と、大根自体の持つ野菜の爽やかな食感が食欲をそそります。

　また、京都風だし巻き卵（150元）はぜひご賞味ください。こだわりの地卵をじっくりとおでんのだしと馴染ませて、お互いの味をうまく引き出しながら作っています。関東風のだし巻き卵は大量の砂糖で味付けされていますが、この店のだし巻き卵は甘くなく、味や食感、ふんわり感など違いは明白です。

だしの染み込んだだし巻き卵

　この他、きゅうりの３種みそ（70元）は、新鮮なきゅうりをオーナー手作りの３種のみそと一緒ににいただきます。爽やかなきゅうりの食感が暑い夏にぴったりです。

きゅうりの３種みそ。食欲がない日やビールの肴にもお薦めです

　また、こちらの店は「裏メニュー」があります。何があるのかは「裏メニュー」なのでここではお教えできませんが、店で「何か本日のお薦めありますか？」とオーナーに聞いてみてください。オーナーは市場で珍しい物を見つけてきては、時折それを使っておいしい料理を作っています。これも楽しみの一つですね。

以前は大阪で料理長

　三浦さんは大阪の日本料理店で料理長をされていたころに、たまたま知り合いの台湾人から料理の腕を見込まれて台湾での仕事の誘いを受けました。10年前に台湾に来て、台北で約８カ月間、居酒屋さんで料理長を経験し、その後高雄の店に転じました。高雄の居酒屋でも約５年料理長を務め、その後ご自分のこだわりもあり独立して「吟ＺＡ」を開業しました。

食材は当日売り切り

　紹介者の高品総経理によると、「たまたま店の近くに住んでいるので、近くを散歩していると日本料理の看板が目に入り、珍しさと好奇心からふらっとのぞいてみたら自分の好みの味で、オーナーも気さくな日本人でもあり懐かしい味を求めて時折訪問しています」とのことです。

　店は１階だけの約20坪ですが、カウンター席も入れて19〜25人は収容できます。

店内は清潔で明るく、カウンター席は余裕のあるつくりです

　なお、料理の食材には添加物が入っていないため作り置きができず、その日の食材はその日に売り切るので、食材がなくなれば営業時間内でも閉店する場合もあります。訪問の際には前もって電話で確認することをお薦めします。

　暑い夏こそスタミナアップに、アツアツの出来たて関西風おでんはいかがでしょうか。

（取材／ワイズコンサルティング・大坪豊）

吟ＺＡ
住所：高雄市苓雅区文横二路88-5号
電話番号：07-535-5586
営業時間：17：30〜23：00
（土、日曜のみ）24：00まで
定休日：月曜日
駐車場：なし（近くに有料駐車スペースあり）