20年11月の５大ニュース／台湾

【１位】米台初の経済対話実現、バイデン政権でも継続へ

　台湾と米国は初の次官級協議「台米経済繁栄パートナーシップ対話（ＥＰＰ）」を20日、ワシントンで開催した。期間５年の覚書（ＭＯＵ）を取り交わし、経済をテーマにした対話を継続することを確認した。来年１月のバイデン政権発足後も対話が続くめどが付き、米台関係のさらなる深化が見込まれる。

陳経済部政務次長（左３）はＥＰＰ終了後、クラック国務次官（左２）がテクノロジー分野での協力を強調していたと語った（中央社）

　経済部の陳正祺政務次長（次官）らが訪米し、キース・クラック米国務次官（経済成長・エネルギー・環境担当）と直接対話した。鄧振中政務委員、王美花経済部長らは台北からビデオ会議方式で参加した。

　サプライチェーンや第５世代移動通信（５Ｇ）とクリーンネットワークなどのテーマで意見交換を行い、半導体分野での戦略提携を優先することを確認した。次回はテーマの一つとして台湾の新南向政策、米国の地域戦略と合致するインド太平洋地域を取り上げる。

　中国外交部の趙立堅副報道局長は20日、いかなる形であれ、米台政府関係者の往来には強く反対すると表明。状況に応じて必要な対応を取ると強調した。

【２位】台中初のＭＲＴ、連結器破損で試乗中断

　台中初の都市交通システム（ＭＲＴ）路線となる烏日文心北屯線（緑線）は試験営業中の21日に一部車両に異常が見つかり、22日より運行を停止した。12月19日に予定通り開通できるか不透明な状況だ。

　車両の連結器の軸が断裂していたため、全面検査を行ったところ、別の車両でも同様の問題が見つかった。連結器６個は安全が確認できず、連結器36個全てを交換する。

　車両と車両をつなぐ連結器は米国製。車両は18編成のうち９編成は川崎重工が日本で製造して台湾に輸送し、残り９編成は台湾で組み立てられた。

　緑線は、北屯総站駅～台湾高速鉄路（高鉄）台中駅の18駅、全長16.71キロメートル。16日からの試乗期間に延べ40万人以上が利用した。

【３位】新型コロナで尾牙自粛、電子大手や金融機関など

　台湾では春節（旧正月、2021年は２月12日）前に企業が尾牙（忘年会）を開催し、従業員の労をねぎらう習慣があるが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、大規模な尾牙を自粛する動きが広がっている。

　電子業界では、受託生産大手、仁宝電脳工業（コンパル・エレクトロニクス）など複数の大手メーカーが、大勢が集まる尾牙の開催中止を決定した。鴻海精密工業は、海外で働く従業員1,000人以上が帰省できないとして、劉揚偉董事長のあいさつや抽選イベントをオンラインに切り替えるなど、ハイテク方式で尾牙を行う。

　金融持ち株会社の富邦金融控股（富邦金）などは、全従業員で集まる大規模な尾牙を取りやめ、部署ごとの食事会に切り替える。

【４位】中天新聞台の免許更新不可に、ニュースチャンネルで初

　ニュース専門局「中天新聞台」について国家通訊伝播委員会（ＮＣＣ）は18日、相次ぐ規則違反などを理由に免許更新を認めなかった。同局は12月12日からケーブルテレビ（ＣＡＴＶ）経由の配信ができなくなる。免許更新の拒否は過去15年で８例目で、ニュースチャンネルとしては初だ。

　中天新聞台は旺旺中時媒体集団の傘下に入って以降、中国寄りの報道が目立つと指摘されていた。総統選前の昨年には、国民党の韓国瑜氏への偏重報道が問題視され、罰金処分が下されていた。

　中天新聞台を運営する中天電視（ＣＴＩテレビジョン）は、免許更新拒否を不服とし、暫定的な免許更新などを求める仮処分申請を行い、台北高等行政法院は30日に審理を開始した。

【５位】台湾株式市場、過去最高値を連日更新

　台湾株式市場の加権指数は週明け９日、米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領（77）の当選が確実になったことを受け、過去最高値を更新。その後も、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造（ＴＳＭＣ）の20％賃上げ観測や、米モデルナの開発中の新型コロナウイルス感染症ワクチンの良好な試験結果発表などで、11月に過去最高値を７回更新した。

　過去最高値を更新したのは、９日、11日、13日、16日、17日、18日、23日。12月１日も前日比162.78ポイント（1.19％）上昇の１万3,885.67ポイントで過去最高値を更新した。11月２日の１万2,591.31ポイントと比べると、１カ月で1,294.36ポイント上昇した。