【１位】アザー米厚生長官訪台、コロナ対策が米台関係強固に

　アレックス・アザー米厚生長官が９～12日、米閣僚として６年ぶりに訪台した。1979年の米台断交以降で最高位の高官の訪台だ。アザー厚生長官は、台湾の新型コロナウイルス対策の世界一とも言える成功を称賛し、医療物資支援に感謝を示した。滞在中には、新型コロナウイルス対策など公衆衛生分野での米台覚書（ＭＯＵ）調印のほか、ワクチンの台湾早期供与についても意見が交わされるなど、米台の協力強化が確認された。

最終日には７月30日に死去した李登輝元総統を弔問。「李元総統の残した民主主義が米台関係を永遠に前進させる」とメッセージを寄せた（中央社）

　一方、中国は米国に対し「一つの中国」の原則を厳守し、公的な往来や実質的関係の引き上げを停止するよう要求した。アザー厚生長官と蔡総統の会談に合わせ、中国空軍機に台湾海峡の中間線を越境させたほか、訪問終了後には台湾海峡周辺などでの軍事演習を相次いで実施するなど軍事力による恫喝（どうかつ）を強めており、周辺で活動する米軍との緊張が高まっている。

【２位】米国産牛肉豚肉の輸入解禁、貿易協定が視野に

　蔡英文総統は28日、2021年１月より米国産牛肉の輸入は月齢による制限を撤廃し、米国産豚肉は基準値以下の成長促進剤（通称・痩肉精）「ラクトパミン」残留を認めると発表した。米台関係が過去数十年で最も良いタイミングで、米台関係の長年の課題だった食肉輸入問題で譲歩し、米台貿易協定（ＢＴＡ）締結を目指す。

蔡総統は、養豚業への100億台湾元（約360億円）規模の支援を表明した（中央社）

　米国のペンス副大統領など政府高官が相次いで支持を表明。31日には、米台経済商業の新たなハイレベル対話の開始を発表した。

　一方、野党国民党は、食の安全や畜産業を犠牲にするのかと批判し、地方自治条例の制定でラクトパミンを含む豚肉を締め出すと意気込んだ。

【３位】陳其邁氏が高雄市長就任、都市博覧会に意欲

　15日投開票の高雄市長選挙で、民進党の陳其邁氏が70％の得票率で圧勝した。支持基盤の厚い高雄市で敗北した2018年の高雄市長選の雪辱を果たした。

　前任の韓国瑜氏（国民党）は６月の住民投票でリコール（解職請求）が成立し、失職した。陳市長の任期は２年４カ月。▽産業モデル転換▽就業機会の創出▽交通インフラの建設▽大気汚染の解決──を「四大優先施政理念」として掲げたほか、「今年は高雄の現代化100周年に当たる」として、高雄市都市博覧会を開催すると表明した。

【４位】初のミシュラン台中版、４店が星獲得

　「ミシュランガイド台北・台中2020」が24日発表され、台北は26店、台中は４店が星を獲得した。台湾版ミシュランガイド発行は３年目で、台中が対象となったのは初めて。

台中市の盧秀燕市長（中）は25日、ミシュランガイドのニューフェイスとして、世界の注目が集まると期待感を示した（台中市政府リリースより）

　台中で二つ星を獲得したのは現代シンガポール料理「ＪＬスタジオ」（南屯区）。一つ星は▽フランス料理「塩之華（フルール・ド・セル）」（西屯区）▽創作西洋料理「フォルケッタ」（西屯区）▽和牛焼き肉「俺達の肉屋」（西区）──。

　「俺達の肉屋」の鍾佳憲シェフ（30）は、今年初めて設立された36歳以下の若いシェフを表彰する「ヤングスターシェフアワード」を獲得した。

　手ごろな値段で食事ができるお薦め店「ビブグルマン」では台北が54店、台中は21店が選出された。

【５位】ＴＳＭＣが４度も工場取得、先進プロセス需要に対応

　ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造（ＴＳＭＣ）は８月、南部科学園区（南科）にある近隣３カ所の他社工場を購入した。過去３カ月では計４カ所で、購入額は合計100億台湾元（約360億円）を超えた。アップルなどの大口顧客がＴＳＭＣの先進製造プロセスの生産能力を奪い合う状況が続く中、さらなる生産拡大のために用いる。

　南科では、最先端の５ナノメートル製造プロセスに続き、22年にも次世代の３ナノが量産予定だ。３次元（３Ｄ）先進パッケージング（封止）の強化も進めている。競合のサムスン電子に対するリードを広げる。

　２ナノについて同社は25日、新竹科学園区（竹科）宝山用地（新竹県宝山郷）に超大型工場（ギガファブ）４基を設置すると発表した。24年量産開始とみられている。