20年10月の５大ニュース／台湾

【１位】初の５Ｇ対応iPhone12、台湾企業に追加発注も

　アップル初の第５世代移動通信（５Ｇ）対応スマートフォン、iPhone12が23日、発売された。新型コロナウイルス感染症の流行による工場の稼働停止などの影響で、例年より約１カ月遅れの発売だ。３年ぶりの大幅刷新で、アップル史上最大規模の買い替えが進むと予想されている。プロセッサー「A14」を５ナノメートル製造プロセスで受託生産する台湾積体電路製造（ＴＳＭＣ）や組み立てを担う鴻海精密工業など多くの台湾メーカーが恩恵を受ける見通しだ。

有機ＥＬ（ＯＬＥＤ）ディスプレイを採用、iPhone12とミニは５色展開だ（リリースより）

　23日に発売されたiPhone12シリーズ２モデルのうち、比較的低価格の6.1インチiPhone12は在庫が十分だったが、ハイエンドモデルの6.1インチiPhone12プロは米国などで品薄状態となり、アップルが台湾の部品サプライヤーに追加発注を行ったようだ。

　11月13日には5.4インチiPhone12ミニと6.7インチiPhone12プロマックスが発売され、全４モデルが出そろう。

【２位】台風ゼロで水不足、北中部で夜間減圧給水

　経済部水利署は14日より桃園・新竹・苗栗・台中地区の給水信号を「黄（第１段階の給水制限）」に転じ、夜間（午後11時～午前５時）の減圧給水と科学園区・工業区入居企業への５％節水要請を実施した。10月に「黄」の給水信号が灯るのは初めて。夏季に56年ぶりに台風が１回も上陸せず、６～９月のダムの貯水量が例年平均の２～６割にとどまったためだ。

　26日より彰化・雲林・南投・嘉義・台南・高雄地区の給水信号を「青（正常）」から「緑（逼迫）」に引き上げた。

　蘇貞昌行政院長は26日、緊急用水源の確保に14億台湾元（約51億円）を投じると表明した。水の供給量を１日当たり70万トン増やし、来年５月まで安定供給を確保できるようにする。

【３位】トヨタ車初の域内生産ＳＵＶ、カローラクロスの販売好調

　12日に発売したトヨタ車初の台湾生産スポーツ用多目的車（ＳＵＶ）「カローラクロス」は、10月の新車登録台数が3,521台と、長年人気の輸入ＳＵＶ「ＲＡＶ４」や台湾生産セダン「カローラアルティス」を抑え、発売初月で車種別の首位に躍り出た。

カローラクロスを生産する国瑞汽車の中壢工場は、平日は２班体制、休日も出勤し生産を急いでいる（和泰汽車リリースより）

　８月末の発表後最初の週末２日間で1,100台以上の予約があり、ＲＡＶ４発売当時の記録を上回った。発売前の予約は5,500台に上った。年間販売台数４万台を達成したＲＡＶ４やカローラアルティスを超える勢いだ。

【４位】スターラックス航空、初の日本就航へ

　新規フルサービスキャリア（ＦＳＣ）、星宇航空（スターラックス・エアラインズ）は26日、12月に台北（桃園）～▽東京（成田）▽大阪（関西）──に就航すると発表した。７月１日に予定していた沖縄線の就航が延期されたため、同社にとって初の日本就航となる。新型コロナウイルス感染症の流行により旅客需要が大きく落ち込む中、根強いビジネス需要、流行収束後を見据えての就航だ。

　日本の外務省は30日、台湾など９カ国・地域について感染症危険情報をレベル２（不要不急の渡航自粛）に引き下げ、入境者に対し新型コロナウイルス感染症の陰性証明や入国時の検査を原則不要とした。日台間の往来が増えそうだ。

【５位】公費インフル予防接種倍増、新型コロナで防疫意識高まる

　子どもや50歳以上の成人、ハイリスク慢性疾患患者などを対象とした公費によるインフルエンザ予防接種（約603万本）が５日始まり、初日の接種が39万9,000本と前年の初日の２倍に上った。世界で新型コロナウイルス感染症が流行する中、市民の防疫意識の高まりを反映した。

　15日時点で約300万本の接種が完了し、就学前乳幼児の接種率22.6％（目標54％）に対し、50～64歳は14％（目標18.7％）と例年よりハイペースで接種が進んだ。感染リスクが比較的高い層にワクチンが行き渡らない恐れがあるとして16日、ハイリスク慢性疾患患者などを除く50～64歳は対象から除外された。

　市民からの批判に対し陳時中衛生福利部（衛福部）長は、感染リスクが高い層の接種率を高めることで、ワクチンは最大の効果を発揮すると強調した。