第30回 入札案に対する発注者の協力義務


ニュース 法律 作成日:2008年9月24日

産業時事の法律講座

第30回 入札案に対する発注者の協力義務

記事番号:T00010436

 
 台湾の入札案件では、発注者が政府か民間企業かを問わず、既に契約書が作成されていて、後は落札企業がサインをするだけという不公平な現象がよく見られます。特に政府が公開発注した工事や調達案件では、入札者は権利を議論することすらできず、いかに不合理な条件でも、企業がその修正を求めることはできません。

 台湾政府の調達契約は、ほとんどが一方的に発注者のみを保護しています。例えば、企業が期限に遅れた場合は厳重な処罰を受けるという内容が盛り込まれている一方で、発注者側の原因で期限に遅れが出た場合、企業は損害賠償を求めることができるといった権利は存在しません。

 実は、台湾の入札案件は大部分で遅延が起きています。しかも、工事そのものの遅延のみならず、発注者による受け取り確認作業でより遅れが生じやすい傾向にあります。工事が遅れるのは、発注者の管理技術が未熟なため、企業が必要とする協力を適宜与えられないことに原因があることがほとんどです。また、受け取り確認に時間がかかるのは、発注者が自分を守ることばかり考え、責任を回避しようという姿勢に起因しています。それでも、契約書では、これらの問題について何ら解決方法も定めておらず、こうした問題が発生した際に、企業はどのように権利を主張すればよいのかは不明瞭なままです。

発注者に協力の催促を

 発注者と企業の権利義務関係に関して、契約条文は最も重要な根拠です。しかし、契約に規定がない事項については、民法およびその他の関連法の規定を根拠としなければなりません。たとえ契約書の中に「本契約に規定のない事項については民法の規定を適用しなければならない」という条文がなかったとしても、当然「民法」を適用します。また、ここでいう「民法」は台湾のものに限らないため、どの国の民法を適用するのかは契約の規定によります。

 民法の分類では、工事の入札案は通常「承攬(請負)」契約に分類されます。台湾民法第507条は、請負契約において、発注者が協力しなければならない事項でその協力義務を怠った場合に関して、以下の原則的な規定を設けています。

 「工事が発注者の行為によらなければ完成できないにもかかわらず、発注者がその行為を行わない場合、請負人は相当の期限を設けて発注者に対して催促を行うものとする。発注者が前項の期限内にその行為を行わない場合、請負人は契約を解除し、契約を解除したことにより発生した損害を請求することができる」

 なお、企業が「発注者が協力の義務を怠った」ことにより契約を解除できるのは、「発注者が協力しなければ工事が完成し得ない」事項に限られます。その他の事項で発注者が協力しないからといって、契約解除の根拠とすることはできません。

 利益を求める企業としては、よほどの理由がない限り契約の解除は行いたくありません。企業が発注者の協力義務不履行に面した場合は、まず発注者に催促を行って、それでも状況が改善しない場合は工事を中断することを宣言し、発注者との間で合理的な賠償を受けるための交渉を行うことも考えてみるべきでしょう。


徐宏昇弁護士事務所
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