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作成日:2008年11月12日_記事番号:T00011516
産業時事の法律講座
第33回 特許権の間接侵害
このほど経済部知慧財産局(知的財産権局)は、特許権の「間接侵害」に対する処罰条文を追加した特許法改正法案を作成しました。間接侵害を処罰することで特許権の保護をさらに完全なものにできるとしています。
「間接侵害」とは
特許を申請できる発明は、「方法」と「物品」に対するものがあります。方法に対する特許とは、物品を作り出す方法(ステップ)に対するもので、製造方法などを指します。一方、物品に対する特許とは部品の組み合わせに対するもので、回路や、機械の組み合わさった装置などを指します。
一般に言う「特許侵害」とは「方法特許」におけるすべてのステップを執行する、または「物品特許」におけるすべての部品を一つに組み合わせる行為を指します。このような行為を「直接侵害」と言います。
一方、間接侵害とは、
・「方法特許」に示されたすべてのステップは執行していないが、特許の「核心をなすステップ」(essential steps)を執行した
・装置の製作において、「物品特許」に示されたすべての部品は使用していないが、「核心をなす部分」(essentialelements)の部品を使用した
ことによって構成されます。
日本やアメリカなどの主要国家の特許法では、間接侵害も侵害を構成しますが、各国の処罰対象とその範囲は同じではありません。
依然残る問題点
知慧財産局の作成した改正法案によると、「被告が製造した物品が当該物品特許の『欠かすことのできない』部品である場合、当該物品特許の侵害とみなす」としています。
しかし、台湾における知的財産権の実務上で現在、より深刻な問題となっているのは:
・知慧財産局による特許権の付与が厳格でないため、産業界に不必要な争いが起こる
・裁判所による特許侵害の認定が厳格すぎるため、特許権者が保護されない
ということにあります。
たとえ知慧財産局が作成した改正法案が成立し、執行されたとしても、争点となっているステップや物品の一部が「欠かすことのできない」ものかどうかの認定は相当の困難があるため、本当に「特許の保護をさらに完全なものにできる」かどうかは疑問です。
審査技術の向上を
これらのことからも分かるように、もし知慧財産局が台湾の知的財産権保護を世界レベルに引き上げることを目指すのであれば、まずやるべきことは特許審査技術のさらなる進歩に努めることで、先進国の法律条文をまねることではないでしょう。
徐宏昇弁護士事務所
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