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第32回 債務者の財産調査


ニュース 法律 作成日:2008年10月29日_記事番号:T00011192

産業時事の法律講座

第32回 債務者の財産調査

 
 民事訴訟で勝訴判決を受けた後には、裁判所という公権力を利用し、被告の財産を差し押さえたり、競売したりすることで勝訴で確定した金額を手に入れる、いわゆる「強制執行」を行います。

 台湾で被告にどのような財産があるのかを調べる最も適した情報源としては、国税局が挙げられます。

財産調査は国税局で

 国税局は税金を徴収するため、さまざまな方法で台湾住民(法人を含む)の財産と収入に関する情報を得ています。そしてこれらの情報は、法律の認める範囲内で第三者への公開が可能です。

 国税局が財産と収入に関する情報を保有している目的は、あくまで課税のためなので、その情報もすべて税務に関連したものとなっています。  例えば、収入に関しては課税対象となる収入、つまり▽給料▽報酬▽銀行利息▽株主配当──などです。そのほか、財産を売却した場合などに発生する課税対象となる情報も保有しています。

 財産に関しては、▽土地▽建物▽株式▽自動車▽オートバイ▽銀行預金──など、かつて国税局に申請された課税対象の情報はすべて保有しています。

 つまり、国税局には個人および法人のすべての財産の情報が保有されているといっても過言ではありません。

強制執行の必要書類

 民事訴訟のプロセスにおいて、国税局に対して財産目録と収入明細の提供を求めるには、まず「仮差押裁定」と「勝訴判決」を獲得しなければいけません。

 その後、「仮差押裁定書」または「民事判決書」の正本を手に入れる必要があります。なお「民事判決書」の場合は、裁判所が発行する「判決確定証明書」も必要です。弁護士が申請する場合には、弁護士への委任状も準備しなければなりません。

 国税局は文献の内容に間違いがないことが確認できれば、通常その場ですぐに財産目録と収入明細をプリントアウトしてくれます。申請者はその情報に基づいて、どこでどのような財産を「強制執行」できるのかを見極めることができます。

銀行預金が最も簡単

 強制執行が最も容易なのは銀行預金でしょう。銀行は裁判所の命令さえあれば、すぐに預金を引き渡すことができます。預金だけでは不十分な場合は、土地や建物などに対する強制執行を行いますが、これらの財産は競売に掛けなければならないため、実際に換金できるかどうかはすぐには分かりません。その次に考えられる方法は、毎月の給料の一部を返済完了、または相手が離職するまで天引きするというものです。

 国税局の保有している情報は、強制執行を行う者にとっては「朗報」といえます。しかし国税局では、宝石や骨董(こっとう)品、または海外の預金などについては一切情報を得ることができません。


徐宏昇弁護士事務所
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