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第28回 ゲーム機の改造は著作権法違反


ニュース 法律 作成日:2008年8月27日_記事番号:T00009812

産業時事の法律講座

第28回 ゲーム機の改造は著作権法違反

 
 任天堂のゲーム機「Wii」は世界中で奪い合いと言えるほどの反響を呼び、他社のゲーム機が見向きもされないような人気になっています。ゲーム機本体の販売だけではなく、その「改造」も一つの小型産業と化してしまっているほどです。

 ここでいう「改造」とは、メーカーから発売されたゲーム機の設定を変更し、海賊版ゲームソフト、またはゲーム機が指定するバージョン以外のゲームソフトの読み取りと、利用を可能にすることです。一般にWiiの改造には通常一組のチップセットを使用します。このチップセットを取り付けると、本来の制御チップの設定機能が変更され、その機能を発揮できなくなるのです。

 Wiiの発売以来、各国で研究、生産された改造チップ(MOD chip)は十数種類に及んでいます。任天堂は数回にわたってゲーム機本体の変更を行いましたが、そのたびに改造チップメーカーに解読・対応されてしまっています。また、改造チップ以外にも、あるメーカーが開発したいわゆる「Wii clip」というパーツは、改造チップの中身をゲーム機本体のチップに直接連結することで、海賊版ゲームソフトなどへの対応をさらに容易にしています。

 これまでも任天堂以外のメーカーが販売したゲーム機で改造が問題になったことがありましたが、ゲーム機の改造について取り締ろうという動きを見せているのは任天堂だけです。ゲーム機改造が違法に当たるかどうかについて、各界の反応は一致していません。

1年以下の有期刑に

 しかし、台湾著作権法第八十条之二の規定によると、解読、破壊またはその他の方法により著作権者の行った反コピー機能を回避することは著作権の侵害行為に当たり、この規定に違反した場合、1年以下の有期刑に処されます。この規定に照らせば、ゲーム機の改造は1年以下の有期刑に該当します。このような規定は、台湾のみならず世界各国に存在します。

 確かに、他のメーカーがこの規定に基づいてゲーム機の改造を取り締まったことはありませんでしたが、それはあくまでもゲーム機の改造取り締まりが、自社の業務の発展に対して有利に働かないと判断したため、すなわち商業的判断を行ったためでした。従って、過去に取り締まりが行われたことがないからといって、ゲーム機の改造が合法な行為であるとは言い切れないのです。


徐宏昇弁護士事務所
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