第23回 外国企業の台湾における法的地位


ニュース 法律 作成日:2008年6月18日

産業時事の法律講座

第23回 外国企業の台湾における法的地位

記事番号:T00008201

 
 外国法人の台湾における法律的地位について民法総則施行法は第12條の規定で、「認可を受けた外国法人は法令の制限する範囲内において、同類の中国法人と同一の権利能力を持つ。前項における外国法人は、中国法人と同様、中国の法律に従う義務を持つ」と規定されています。外国企業は「認可」、すなわち台湾で企業として登録を行うことで初めて台湾企業と同等の地位を得ることができます。条文中の「中国」とは中華民国、すなわち台湾のことを指します。

 今年5月2日に立法院で改正案が可決され、「認可を受けた外国法人は法令の制限する範囲内において、同類のわが国法人と同一の権利能力を持つ。前項における外国法人は、わが国法人と同様に、わが国の法律に従う義務を持つ」と変更されました。

 しかし、この改正は、元の「中国」を「わが国」に変更し、「中国」が台湾なのか中華人民共和国なのか誤解を招かないようにしただけで、それ以外の部分は変更されていません。

「権利の不当制限」に批判

 この規定は制定当初より、外国企業の権利に対し、「認可」の有無で不当な制限を行っているとして各界の批判を受けてきました。この規定の執行を徹底するならば、海外企業が台湾企業と貿易を行う際は、台湾政府に登録を行って認可を受けてからでなければ、何らかの問題が起きた際でも台湾の裁判所に提訴を行う権限もないことになってしまいます。台湾を貿易相手としている外国企業にとっては受け入れ難いものでしょう。

 過去数十年間、台湾の裁判所がこの条文を適用する際には、条文の意味をそのまま解釈するのではなく、制限(縮小)解釈を行ってきました。裁判所の現在の解釈によると、外国企業は認可を受けていなくても、民事訴訟を起こすことができるとしています。裁判所は「非法人団体」という概念を設けることで、認可を受けていない外国企業を位置付けたのです。

 外国企業は認可を受けなければ、台湾での不動産の所有権、抵当権など、登録を行わなければならない「物権」を持つことはできませんが、動産や債権などに関しては所有権を享有することができます。従って、一般貿易に関して何らかの問題が発生したとしても、海外企業の権利は保障されています。

 その上、外国企業が海外での台湾企業との訴訟で勝訴した場合、台湾の裁判所はその判決を基に台湾での強制執行の実施を許可しますし、商標法、特許法、著作権法などの比較的現代的な法律には、外国企業は台湾企業と同等の権利を享有できるといったような規定も条文中に設けられています。

 このようなことからも分かるように、外国企業が台湾で享有できる権利は、基本的には相当の保障があると言っていいでしょう。ただし、特定の案件でどの程度の保障があるのかは状況によって異なるため、商業行為を行う際には、まず弁護士に相談し自己の権益の保障を図ることをお勧めします。


徐宏昇弁護士事務所
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