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第18回 法的処置を取る際に考慮しなければならないコスト


ニュース 法律 作成日:2008年3月26日_記事番号:T00006358

産業時事の法律講座

第18回 法的処置を取る際に考慮しなければならないコスト

 
 3月22日、台湾の有権者の6割は、喜び勇んで民進党を野党にすることを選びました。有権者は、国民党政権には現在以上に野党の監視が必要になるとも知っているはずで、本来ならば、お金を払ってでも力のある野党勢力の存在を求めてもいいところでしょう。今後、台湾に「野党」が現れるのかどうかは、本当に研究に値する問題です。
 
 さて、多くの人は権利が侵害された時、法律によって解決を図ろうと考えます。法律は正義を追求するものであることは間違いありませんが、しかし、正義の追求にはコストがかかることも考慮しなければなりません。
 
 法的処置に関して考えなければならないコストは3つあります。お金と時間、そして精神力です。そもそも法的処置を取るべきなのか、取るとすればどのような処置をとるべきなのかは、すべてコストの計算が必要です。そうしてはじめて最良の計画を練ることができるのです。

 法的処置に必要で最も主要なお金は、もちろん弁護士費用です。弁護士費用は案件の複雑さに比例し、案件が複雑であればあるほど、金額が膨らんでいきます。

 また、弁護士費用には最低費用というものがあります。このため、小額の案件や、重大な利害が絡んでいない案件では、法的処置を取らない方がいいでしょう。
 
 さらに、担保金もあります。訴訟の際に提供する担保金は、数年後になってやっと戻ってくるケースもあります。訴訟が国際間にわたる場合は、通訳・翻訳費用や旅費なども計算に入れなければなりません。
 
 法律は証拠を重視し、公開審理を行わなければならないため、争いを迅速に解決することは難しいことです。それが法律の宿命と言ってもいいでしょう。

 数千万円の契約に関する訴訟が短期間で一審判決を得ることもあれば、数十万円の商標に関する争いに数年を要することもあるかもしれません。なぜならば、係争金額は後者の方が少なくても、関係している法律が後者の方が複雑ということがあるからです。

 起訴の際には、法的処置を取らなければならない理由があったとしても、訴訟の途中で、それまでかかった時間と、最終的に得られるであろう結果が自らに有益であるかどうかを検討し直し、訴訟を適当なところで切り上げて、ほかの方法で争いを終結させることも一つの選択肢でしょう。
 
 法的処置に必要な精神力とは、行動前に行う研究や討論のほか、法的処置を取っている最中に起きた新たな事態に対して、随時対応していく力というものです。さらに、あなたが原告の場合は、挙証責任などに対しても気を付けなければなりません。必要があれば証人として出廷し、裁判官に事情を説明しなければなりませんし、相手方の弁護士の質問にも答えなければなりません。これらの精神面でのコストも、すべて金銭に換算することができると思います。
 
 法的処置に対するコスト計算は非常に重要です。法的処置を取る際のコストには、いわゆる表面上のコストと、潜在的なコストがありますが、それらのコストを計算した上で、慎重に取るべき手段を選ぶ必要があります。
 

徐宏昇弁護士事務所
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