第26回 事故の法的処理


ニュース 法律 作成日:2008年7月30日

産業時事の法律講座

第26回 事故の法的処理

記事番号:T00009176

 
 長い人生では、交通事故のような突然のトラブルに見舞われ、法的争議に巻き込まれることもあります。自分自身や家族が傷つき、財物に損害を受けたりして、身体的にも精神的にも苦痛を被るかもしれません。事故の相手が非常識な人物ならば、平和的な解決を望めず、怒りさえも収まらないことでしょう。

 台湾では、「中華文化」を口にする人は少なくありませんが、実際は文化的に発展途上にあると言えます。事故に遭った場合、自分に非があれば相手に責任をなすり付け、相手に非があれば声を荒げ、一歩も引くことはありません。

 相手が非常識な人物であっても、法的手段を採ればまともな解決を望めると考える人も多いようですが、これは誤解です。台湾の法律家が不熱心というわけではないのですが、法的な対応はなんとも大ざっぱです。例えば、交通事故の処理は当事者の心の問題にまで気を配ることはほとんどありません。財物の損害額や医療費などを、そのまま認定額の判断基準にするだけです。

 また、法的解決に到るには、長くて効率の悪いプロセスを踏まなければなりません。その過程において、当事者は相手方の横柄な態度で、さらに傷つくこともあります。

保険会社による交渉サービス

 現在、台湾には強制保険をはじめとしたさまざまな保険があり、効果的な解決を期待できない司法機関に代わる役割を果たしています。事故が発生した際、保険会社が契約者と損害賠償について協議した上で、当事者同士が賠償方法と賠償額について交渉を行っていましたが、これをよりスムーズに進めるべく、保険会社同士(または一方)が当事者の代理として交渉するという制度ができました。

 保険会社による交渉は、比較的早く合意に達することができます。事故処理の経験が豊富で、また、保険会社は双方共に損害額を減らしたいと考えているため、譲歩することもあるからです。当事者は弁護士費用を支払う必要がなく、賠償金すべてを自分のものにすることができます。保険会社にとってはビジネスですから、ほとんどの場合において協力的でしょう。

示談は警察で

 警察に通報した場合、事故後の示談は警察で行うことをお勧めします。特に日本人は、ここは台湾だということを忘れてはいけません。相手側が謝罪したり、許しを求めることはめったにありません。自分が被害者であっても、相手側から慰めの言葉がかけられることもあり得ません。損害と苦痛が少しでも減り、苦痛がさらに増えることがなければ、本当に万々歳なのです。

 なお、相手側の事故後の対応の横柄さは、社会的地位の高低とは関係ありません。有名な国際企業の幹部クラスでも横柄な態度で対応します。相手側が大企業だから常識的な対応が望めると考えるのは、現実的ではありません。


徐宏昇弁護士事務所
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