第25回 同時履行の抗弁


ニュース 法律 作成日:2008年7月16日

産業時事の法律講座

第25回 同時履行の抗弁

記事番号:T00008846

 
 「同時履行の抗弁」とはその名の通り、訴訟上の抗弁の一種で、自分がある種の契約上の義務を履行する際に、同時に相手方にも対等の義務を履行することを請求することです。

 売買契約ではよく、「代金が支払われない」という問題が発生します。買い手が売り手に対して発注を行った後、双方が商品名・数量・代金・納品日時などに合意すれば売買契約は成立します。したがって、もし買い手が発注を取り消したとしても、正当な理由がなければ、売り手は買い手に商品の受け取り・代金の支払いを請求することができます。もし買い手がそれを拒否した場合、売り手は買い手が代金を支払うよう裁判所に訴えることができます。

 このような場合、売り手が、「売り手が納品する義務を履行すれば、買い手は代金を支払うべきです」と訴訟で主張すると、判決は、「買い手は、売り手が契約した商品のすべてを納品した際に、売り手に対し代金全額を支払わなければならない」というものになるでしょう。

 売り手はこの判決を受け取って喜んでいてはいけません。なぜならばこのような判決は、買い手が代金を支払わなくてもよいということに等しいからです。それは、訴訟の終了までには時間が相当かかっているので、その時点で、「本来納品しようとしていた商品が今も存在しているのか?品質はもとのままなのか?」という問題が起きているからです。もし売り手が契約どおりの品質と数量の商品を納品できなければ、買い手は代金を支払わなくてもよいということになってしまいます。

 台湾の最高裁判所によると、売り手が契約に違反して商品を供給できなかった場合、買い手は訴訟において、「売り手が納品をするまでは代金を支払わない」という主張ができます。

損害賠償が賢明

 同時履行抗弁の制度は、売り手に不利なため、買い手が売買契約に違反した場合、売り手にとってより良いと思われる方法は、契約を解除し、買い手に損害賠償を請求することです。契約どおりに代金を支払わせることではありません。

 また、最も好ましいのは、売買契約が成立したときに、信用状によって代金を支払う約束を取り付けておくことです。そうすることにより、売り手は銀行に対し出荷を証明するだけで代金を受け取ることができます。

 もし信用状による支払いという方法を採れないのであれば、売り手は発注を受ける際に手付金を受け取るとよいでしょう。そうすれば、将来もし買い手が発注を取り消したとしても、手付金を没収することで損失額を最小限に抑えることができるでしょう。


徐宏昇弁護士事務所
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