ニュース 法律 作成日:2023年6月28日_記事番号:T00109713
産業時事の法律講座巨大機械工業股份有限公司(ジャイアント・マニュファクチャリング)は、同社の「電動アシスト自転車(eバイク)」の意匠権D133389号を侵害したとして、泳仁実業股份有限公司と来克車業有限公司を提訴しました。2021年、智慧財産および商業法院(知的財産および商業裁判所)は原告の請求を認め、両被告に損害賠償金としてそれぞれ1126万台湾元(約5200万円)と787万元の支払いを命じました。
両社はその後、上訴。最高法院(最高裁判所)は2022年4月と6月に、それぞれ原判決破棄の判決を下したのです。
一般消費者の視点
理由は以下のとおりです。
1.意匠権侵害の有無を判断するには、「一般の消費者」が関連の商品を購入する際の視点から、係争対象物の全体の内容と、被告の物品のうち、それに対応する設計内容の対比を行うべきである。
2.判断の主体は「一般の消費者」でなければならない。それはつまり、係争対象物に対して一般程度の知識と認識を持ち、当該物品を合理的に熟知している人を指す。それは決して専門家やプロのデザイナーのような、係争対象物の領域の生産・販売状況を熟知している人ではない。
3.観察時は「一般の消費者の注意を引きやすい部分と特徴」に重点を置いた上で、その他の設計の特徴も併せて、全体の外観を統合した視覚的印象を構成する。
次に被告の物品と係争対象物の差異を探し出し、これらの差異の特徴が、被告の物品全体の視覚的印象に影響を与えるに足るものかどうかを判断しなければならない。
4.もし、差異の特徴が、被告の物品全体の視覚的印象に影響を与えるに足らない場合、二者の外観は類似しており、そうでない場合は類似していないと認定すべきである。
本件意匠の主要なデザイン上の特徴は、フレームの前・後端部とライトのデザインにありました。これに対して被告の物品と本件意匠の差異の特徴も、いずれもこれらの部分にあったのです。両者はこれらの差異の特徴において、明らかにデザインが異なっていました。
このため裁判所は、これらの差異の特徴が、被告の物品について異なる全体の視覚的印象を生み出せるかどうかを判断の基準とせねばならず、かつその理由を説明すべきです。
原判決は、自転車で最もコストがかかるのはフレームであり、かつフレームは業者が車種を判断するときの根拠になるものだと考えました。そこで、フレームが似てさえいれば、自転車自体も似ていることになると認定したのです。しかし、このような認定方法は間違っています。
徐宏昇弁護士
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