第8回は焼肉店「老乾杯」をご紹介します。案内役はSMKの大橋基秀総経理です。
黒ビールを手にする大橋総経理
焼肉といえば、ガッツリ食べる大衆的なイメージを抱くのは筆者だけだろうか。「老乾杯」は台湾に数多いそうした店とは一線を画した肉の味へのこだわりが持ち味で、看板からして料亭のような雰囲気だ。黒を基調とした店内は照明も落ち着いた明るさで、洗練された雰囲気が漂う。
飲み物メニューを見て、「お、黒がある」と大橋さん。アサヒの黒生ビールで決まりだ。
食事メニューには、リブかぶり、かいのみ、ハネ下、ゲタカルビなど未知の言葉が並んでいる。選択が難しいので無難なコースセットをいただくことにした。コースは1,500元と2,000元の2種類で、後者を選んだ。牛肉の刺身、サラダ、肉4種、グリルした海の幸、サーロインステーキ、釜飯、そしてデザートというラインナップだ。
まずは牛刺しをわさびじょうゆでいただく。やわらかく甘みのある味わいが口一杯に広がる。肉はオーストラリア産和牛。台湾では現在日本からの牛肉の輸入が禁じられているため、豪州で育った牛を使っている。
続いて、牛タン、かいのみ、カルビ2種、ハネ下が黒い器に盛られて登場した。普段たらふく食べる身としては、少し物足りない量かと思ったが、そうでないことは後で分かった。ごま油、レモン、たれの3種でいただく。
脂身たっぷりのゲタカルビは網の上に載せた瞬間、肉の脂がしたたり落ちて炭火が一気に強くなった。老乾杯の炭火は入口横にある釜で焼いておこしている。
肉汁がじゅわっと溶け出す
口の中で肉汁がじゅわっと溶け出す。歯に力を入れる必要のない柔らかさだ。わかめサラダに続いてグリルしたシーフードが運ばれてきた。ホタテ、エビ、サーモンは北海道産だ。そしてお待ちかねのサーロインステーキの登場だ。霜降りの見事な肉で、塩が振ってあり、スタッフが付きっきりで焼いてくれる。焼き加減のリクエストはミディアムレア。焼き上げた肉は赤身と脂をはさみで切り分けてくれた。口の中でのとろけ具合に大 橋さんもご満足のよう。あっという間に平らげ、じわじわと満腹になってきた。
釜飯も老乾杯の看板メニューだ。鶏、うなぎ、和牛、さけ、とろろなど9種類ある。大橋さんは鶏、筆者はとろろをオーダー。18分間火にかけた後、2分間蒸すそうだ。人気メニューである鶏釜めしは「色目は薄いが、味はしっかりしている」と大橋さん。脂身たっぷりの焼肉の後にはちょうどよい。
最後のデザートを終えて、すっかり満腹になったところで、奥のカウンター席に並べてある日本酒が目に入った。
甘口から辛口まで一通りそろっていて、日本語の堪能なスタッフの紹介がこれまた上手い。薦められた富山の「満寿泉」を1合いただくことになった。大橋さんがオーダーした辛口の満寿泉は、のど越しが良くあっという間に飲み干してしまい、もう1合いただくことに。スタッフによると、台湾で満寿泉を味わえるのは老乾杯だけだそうだ。
秋の夜長に上品な味覚の焼肉を上品にいただくのも味わい深い。木~土曜はほぼ満席となるため、予約を入れた方がよい。
取材/ワイズコンサルティング・七沢愛果
「老乾杯」
住所:台北市光復南路280巷44号1楼
電話番号:02-2751-7388
営業時間:昼12時~14時半(土日のみ)
夜17時~23時