【3位】陳水扁前総統、汚職で逮捕・起訴
陳水扁前総統が11月12日、在任中の総統府国務機密費の不正流用や、家族ぐるみでの海外口座を使った資金洗浄(マネーロンダリング)などの疑いで逮捕され、1カ月後の12月12日に起訴された。検察によると、陳前総統の収賄・資金洗浄による不法所得は7億9,000万台湾元に上っており、裁判所に対し「極めて重い刑」を科すよう求めた。総統経験者の逮捕・起訴は台湾史上初めて。
手錠を頭上にかざして「政治迫害」と訴えた陳前総統
(11月12日=中央社)
退任して憲法による免訴特権を失った陳前総統に対し、検察は7月以降、事情聴取や家宅捜索を含む捜査を開始。同時に、資金洗浄の手口が連日大々的にメディアに報道された。
陳前総統は事件について「政治迫害であり自身は潔白」という立場を再三表明しているが、世論調査では半数以上が「逮捕・起訴は妥当」と答えるという結果が出ている。陳前総統は、今後裁判を経て有罪が確定した場合、長期間服役する可能性もある。若手の旗手から台北市長を経て総統にまで上り詰めた民進党のヒーローは政治生命に致命傷を負い、同時に再起を目指す民進党にも極めて深刻なダメージを負わせた。
【4位】世界不況が直撃、5年ぶりのマイナス成長を記録
今年の台湾経済は、金融危機による世界的な不況の直撃を受け、深刻な落ち込みを見せた。第3四半期の成長率はマイナス1.02%となり、新型肺炎SARS禍に見舞われた2003年第2四半期以来のマイナス成長を記録した。行政院主計処では、マイナス成長は09年第1四半期まで、3四半期連続で続くと予測している。
欧米の消費落ち込みは、半導体と液晶パネルに代表される台湾エレクトロニクス業界に深手を負わせており、台湾積体電路製造(TSMC)や聯華電子(UMC)、鴻海精密工業、友達光電(AUO)、奇美電子(CMO)など大手メーカーで、人員削減や無給休暇の実施が相次いだ。DRAM最大手の力晶半導体(PSC)を含め、12月下旬までに企業120社が政府に救済措置を申請した。
企業の倒産や人員削減によって失業率は11月時点で4.62%へと上昇し、失業者も50万7,000人と、年初来から21%増加した。
株価指数も馬英九政権誕生直前の9,288ポイントから、11月下旬には4,089ポイントまで54%下落。馬政権の誕生で好景気の現出を期待した多くの一般投資家が多額の損失を抱えた。
【5位】台プラグループ創設者、王永慶氏が死去
10月15日、台塑集団(台湾プラスチックグループ)創設者、王永慶氏(享年91)が工場視察のために訪れた米ニュージャージー州で、睡眠中の心肺不全により死去した。11月8日に長庚大学(桃園県亀山郷)で営まれた告別式には、政財界要人を含め約8,000人が参列し、台湾を代表する企業家の死去を悼んだ。
王永慶氏は、1954年に創設した台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)を、持ち前の勤勉さと節約精神で世界屈指の石化グループに育て上げ、「経営の神様」、「台湾の松下幸之助」などと呼ばれて尊敬を集めてきた。王氏に対し、馬英九総統は「台湾の核心的価値を代表する人物」と功績をたたえ、鴻海精密工業の郭台銘董事長も「台湾産業界最大の損失」と惜しむなど影響力の大きさが改めて示された。
今年5月、アモイ長庚病院の開幕式典に出席した際の王永慶氏。最後まで台プラグループの発展に力を注ぎ続けた(中央社)
強大なリーダーシップを発揮してきたカリスマ経営者を失った台プラグループは今後、おいの王文淵・行政中心総裁を中心とする7人体制で経営を担っていく方針を示した。ただ王永慶氏の告別式以降、同グループの経営から離れている次男の王文祥氏が復帰の意向を示したと報道されたり、同氏の隠し子と名乗る人物が出現するなど、経営争いや遺産争い勃発を伺わせるニュースも持ち上がっている。