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第39回 人材派遣契約と労働基準法


ニュース 法律 作成日:2009年2月18日_記事番号:T00013440

産業時事の法律講座

第39回 人材派遣契約と労働基準法

 
 日本で話題の「派遣」という雇用形態は、台湾でも多くの企業が採用しています。派遣が(一般)雇用と最も大きく違うのは、「労働者を自らの会社で雇用せず、人材派遣会社に雇用させている」点です。派遣を利用することで、法的責任とリスクを軽減できるという判断もあると考えられます。

契約はタイトルより「内容」

 ところで、裁判所が派遣契約における権利義務関係を認定するという場合、根拠とするのは契約の「内容」であり、「タイトル」ではありません。企業と人材派遣会社の締結した契約が人材派遣なのか、事実上の雇用契約なのかは、契約内容により判断されます。

 こうした法律の観点から見れば、派遣人材に特殊な技能や経験が必要な専門職の仕事を行わせた場合、その会社がその人材を特に必要としていると見なされ、裁判所または行政裁判所は双方の契約関係を「直接雇用」と解釈する可能性があります。ここで労働契約上の問題が起これば、企業は雇用主としての責任を負わなければならないことになります。

「雇用主」と見なされる場合も

 さらに、人材派遣会社側が誰を派遣するかの決定権を持つ、つまり「不特定のどの人材を派遣してもよい」という人材派遣の本質を考えると、たとえ仕事の内容が事務作業であっても、特定の同一人物が同じ会社で長期間働いた場合は、両者は直接雇用関係にあると見なされる可能性があります。また、企業が人材派遣制度を利用して法的責任を逃れようとしていると認定される恐れもあります。

信頼できる人材派遣会社を

 人材派遣会社を利用するとき、もう一つのリスクとなり得るのは、人材派遣会社そのものの信用でしょう。特にその人材派遣会社が長期経営できるのかという点は重要です。

 人材派遣会社の中には人材仲介会社が業務転換したところもありますが、仲介をすればよいだけの人材仲介とは異なり、顧客のために大量かつ長期の人材雇用を行わなければ人材派遣会社としての責任を負うことができません。

 長年の関係の末に労働問題が発生した結果、人材派遣会社が責任を取れないために企業が全責任を負わなければならなくなるようであれば、人材派遣という雇用形態を選択した意味がなくなってしまうことでしょう。


徐宏昇弁護士事務所
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