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第41回 信用状の「記載内容」


ニュース 法律 作成日:2009年3月18日_記事番号:T00014096

産業時事の法律講座

第41回 信用状の「記載内容」

 
 信用状(letter of credit、L/C)は手形と同様、決済手段であると同時に、担保でもあります。つまり、代金の支払いだけではなく、保証(担保)としても使用できるのです。

 しかし、信用状を担保として使用する場合には、その記載内容によく注意しなければなりません。銀行は当事者同士の契約内容ではなく、あくまでも信用状に記載されている事項を基に、支払いの可否を判断するからです。

 最近、域内のある大企業が信用状の記載内容の一部を見落としたために、高額の支払い代金が受け取れないという目に遭いました。

 同社では、グループ内の販売会社が受注し、グループ内の生産会社が、台湾と中国にあるそれぞれ異なる名称の工場で生産を行っていました。

銀行が支払拒否

 この企業は、顧客からオーダーを受ける際、スタンドバイ信用状(stand-by L/C)を担保として受け取り、納品後60日以内に顧客から振込で支払いを受けることにしていました。しかし、顧客の資金繰りに問題が発生したため、予定通りに支払いが行われませんでした。その後も顧客側の問題は解消されず、この企業は信用状を換金することにしました。

 ところが銀行は、信用状に記載されている支払条件と出荷書類の内容が合致していないとして、支払いを拒否。同社は結局、数千万米ドルもの不良債権を抱えることになってしまったのです。  もちろん法律上は、信用状とその他の資料を基に、欧州の裁判所に対して顧客を起訴し、支払いを請求することができます。ただ皆さんもご存じのとおり、このたぐいの裁判には何年もの年月がかかります。また、今すぐ顧客の銀行口座や生産設備を差し押さえたとしても、既に手遅れでしょう。

 景気が振るわないときには、新製品の開発などに精を出すだけではなく、既に締結されている、またはこれから締結する契約書類について、今まで以上に注意することも必要でしょう。もしこの企業と同様、「信用状を担保としているから問題はない」といった考えをお持ちならば、同様の結果を招くかもしれません。


徐宏昇弁護士事務所
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