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第46回 台湾人子女の雇用


ニュース 法律 作成日:2009年5月27日_記事番号:T00015603

産業時事の法律講座

第46回 台湾人子女の雇用

 
 台湾における多くの外国企業が外国籍の職員を雇用する際、よく問題になるのが「工作許可(労働許可)」の取得が難しいという点です。

 台湾の外国人工作許可に対する審査は、特定の国に対しては緩く、特定の国に対しては厳しいのが現状です。全体的に見れば、外国人の工作許可取得は容易ではありません。多くの海外の優秀な人材が、さまざまな制限によって思うように台湾で就労できていません。これは外国企業のみならず、台湾企業にとっても頭の痛い問題です。

 しかし、企業が雇用する外国籍職員が台湾人の子女であれば、問題は簡単です。

 2000年の改正以前の国籍法では、子女の国籍は父親の国籍と同じと決められていました。母親が台湾人であっても台湾国籍とはならないため、多くの台湾人の子女が台湾国籍を取得できませんでした。

 しかし国籍法の改正後、出生時に父または母のどちらか一方が台湾国籍であれば、台湾国籍を取得できると新たに規定されました。これにより、父母のどちらかが台湾人であれば台湾国籍を取得でき、同時に他の国の国籍も取得できることにはなります。

国籍法改正で柔軟に

 この規定は2000年の法改正時に未成年だった人、つまり1980年2月10日以後に出生した人が適用対象となります。

 ただ、台湾国籍だからといって、そのまま台湾で合法的に仕事ができるとは限りません。台湾で仕事をするには「戸籍登記」が必要です。すなわち、地方自治体に戸籍登記を行った台湾人でなければ、国民としての権利を享受し、合法的に仕事をすることはできないのです。

 現行法の規定では、台湾国籍取得の資格がある「外国人」が台湾で就職するには以下の三種類の方法があります。

1)1980年2月10日から2000年2月10日の間に台湾で出生した人は、外国のパスポートで台湾に入国した後、内政部移民署に対して定住を申請して「定居証」を取得した後、戸政機関(戸籍主務官庁)に対して戸籍登記する。

2)2000年2月10日以後に台湾で出生した人は、地方自治体に出生証明を提出し、戸籍登記を行う。


3)外国で出生した人は、「入出国及移民法」の規定に基づき、外国で台湾パスポートの申請、定住を申請し、台湾入国後、相当期間の居留を経た後に戸籍登記を行う。

帰国する際の権益に配慮を

 これらの規定に基づけば、台湾国籍の取得資格を持つ人材を雇用するのは極めて簡単、かつ経済的な方法です。日本企業であれば、日本で台湾人を母親に持つ日本国籍の職員を募集し、台湾で就労させれば複雑な手続きを取ることなく、台湾で合法的に就労させることができます。

 このような人材は、台湾に親せきがいるため台湾での就職に対する意欲は他の日本人より高いでしょうし、より高い安定性を期待できる可能性もあり、考慮する価値があります。

 しかし、日本を含め二重国籍を認めない国は、国民の外国国籍取得を歓迎しないでしょうから、企業はこうした人材に対して相当程度の法律的補助を行い、彼らが将来帰国する際の権益に影響が出ないようにするべきでしょう。


徐宏昇弁護士事務所
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