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第50回 知的財産局の商標法改正案


ニュース 法律 作成日:2009年7月22日_記事番号:T00016751

産業時事の法律講座

第50回 知的財産局の商標法改正案

 
 経済部知的財産局が7月1日に提出した「商標法改正案」では、多くの改正点が挙げられています。改正範囲も広く、注意が必要です。

 特に注目すべきは、これまで商標法を適用する上で生じていた問題に取り組んだ点です。台湾において、商標法の重要性が高まってきた表れと言えるでしょう。

 産業界では毎年のように商標に関する争議が数多く発生し、その大部分に裁判所が関与しています。さらに知的財産裁判所の設立以降、知的財産局は商標訴訟に参加するか、少なくとも意見を表明しなければならなくなりました。

 そのため、知的財産局はこれまでの経験に基づき、今回の改正案において意義深い意見を提出しています。

商標権の分割が可能に

 改正案における現行法との最大の違いは、「商標権の共有」、および「商標権の分割(指定商品等が複数ある商標権を、指定商品等ごとに分けて、それぞれ別個の商標権とすること)」を認めている点です。これまでの「商標は一つ」とする概念が、社会の変化に従い変化したといえます。

 知的財産局は今後徐々に、申請者に対して「中国語」「英語」「日本語」「図形」をすべてまとめて登録申請するよう求めなくなるでしょう。また商標登録後に、商品名称、商標図案などに基づき、商標を分割するケースも出てくるでしょう。

 このほか、文字、図形、記号、色、立体、音以外に、「動作(motion marks)」「ホログラム(hologram marks)」「におい(scent marks)」なども商標登録できるとされています。

 また、今のところ申請者数が多くはない「証明標章」「団体標章」「団体商標」についても、多くの改正点が挙げられています。今後、このような新しいタイプの商標も社会的需要が増すことでしょう。

 さらに、商標権者が他者に商標権の使用を許諾する「非専属授権(通常使用権)」に関しても、新たな権利が付与されました。これは、商標権者が他者に商標を侵害されたにもかかわらず何もアクションを起こさない場合に、通常使用権者が商標権者に対してアクションを起こすよう求め、それでもアクションがなければ、自ら模造品等を取り締まることができるというものです。

 ただ、もし「専属授権(専用使用権)」が授権されたのならば、商標権者が有していたのとほぼ同等の権利を得られますが、「通常使用権」の場合、アクションを起こすかどうかを決定する権利は商標権者にあります。この点が各界に受け入れられるには、さらなる検討が必要でしょう。

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