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第51回 証拠の早期提出


ニュース 法律 作成日:2009年8月5日_記事番号:T00017042

産業時事の法律講座

第51回 証拠の早期提出

 
 台湾の裁判はかつて、「訴訟遅延」が最大の問題でした。

 訴訟が遅延する原因として、さまざまなケースが考えられます。たとえば、裁判官、検察官の準備が不十分だったり、訴訟が進んでから重大な証拠が当事者から提出され、それまでのプロセスがすべて無駄になってしまったりするケースがあります。

裁判を長引かせないために

 このため各地の地方裁判所は、民事訴訟で当事者による証拠提出および主張をできる時期を厳格に定めています。

1)第一審「口頭弁論」の前に行われた「弁論準備手続」で提出されなかった主張や証拠は、「口頭弁論」でも提出できない

2)「弁論準備手続」の「書面による準備手続(争点の整理)」で、当事者双方が書面で意見を示し、裁判官が争点を整理した後では、新たな争点を提出できない

3)第一審で提出されなかった主張や証拠は、第二審で提出できない

 こうした取り決めは、訴訟遅延の回避に役立ちます。ただ、裁判では判決の具体的妥当性を重視すべきで、スピードを追い求めるべきではありません。そこで、当事者は以下の場合では新たな主張や証拠を提出できると法律で規定されています。

1)裁判所が本来調査すべき事項
2)訴訟遅延を引き起こさない事項
3)当事者が故意でないが提出しなかった事項
4)当事者に提出を認めないと公平さに欠ける事項

 第一審、第二審の判決は、最高裁判所の監督を受けます。下級裁判所が効率のみを重視し、公平性を欠く判決が下された場合、最高裁判所が下級裁判所の判決を取り消し、当事者による提出が遅れた主張や証拠を調査するよう下級裁判所に命じます。

 提出が遅れた主張や証拠が、既に提出されている主張や証拠を補強する場合、または当事者に主張や証拠の提出を禁じると公平性を欠く場合に、特にそうした措置がとられます。

 厳格な「争点の整理」は今や、台湾の裁判所における共通の手続きとなっています。もし読者の皆さまが訴訟を行うことになれば、有力な主張を提出するタイミングを逃してしまうことのないよう、早めに弁護士に証拠を提供することをお勧めします。

徐宏昇弁護士事務所
TEL:02-2393-5620 FAX : 02-2321-3280
MAIL:hubert@hiteklaw.tw

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