ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第56回 犯罪被害者の保護


ニュース 法律 作成日:2009年10月14日_記事番号:T00018531

産業時事の法律講座

第56回 犯罪被害者の保護

 
 犯罪の被害者となった人にとって、犯罪者に損害賠償を求めるプロセスは、犯罪被害そのものと変わらぬほどの苦しみをもたらすといえます。この問題を解決するために台湾では、「犯罪被害者保護法」が制定されています。犯罪被害者が地方検察署に「犯罪被害者給付金」を申請することができ、検察署は補償金を支払った後に犯罪行為者に対して賠償請求するという仕組みです。

犯罪被害者給付金

 犯罪被害者が請求できるのは、▽被害者が傷害を受けたことによる医療費支出、40万台湾元以下▽被害者死亡による葬儀費、30万元以下▽被害者死亡により履行不可能となった法定扶養義務費、100万元以下▽被害者が重傷を受けたことにより、喪失、低下した労働能力、もしくは生活費用、100万台湾元以下──です。

 犯罪被害者が補償金を申請する場合、管轄の地方検察署に書面で申請を行わなければなりません。検察署の審議委員会が補償の有無、および金額を決定します。

 被害者は申請によって、前述の範囲内で損害賠償金が得られますが、上限を超えた部分は加害者と交渉するか、損害賠償訴訟を起こすことになります。なお、検察署は給付金を支給した後、加害者に対して求償します。

外国人も訴訟サポート

 犯罪被害者が訴訟で損害賠償を求めた場合、損害賠償請求額が前述の上限以下であれば、「犯罪被害者保護法」が規定する「訴訟費用の支払猶予」が認められます。上限を超えた場合、被害者に支払能力がなければ、民事訴訟法の「訴訟支援」既定に基づき、訴訟費用の免除を申請できます。弁護士費用については、「法律扶助法」があります。資金力がない人が訴訟を起こしたい場合、弁護士支援基金会に無料の弁護士、代理訴訟人を申請できます。

 これらの既定は台湾人だけでなく、外国人も対象です。ただ、犯罪被害者給付条例規定は、台湾人に対して補償を行う国の外国人のみ、台湾で給付を受けられます。なお、台湾人配偶者を持つ外国人や外国人労働者は一律、給付対象です。民事訴訟の訴訟支援も同様です。法律扶助に関しては、「合法的に台湾に居住している人」は皆、利用できます。


徐宏昇弁護士事務所
TEL:02-2393-5620 FAX : 02-2321-3280
MAIL:hubert@hiteklaw.tw

産業時事の法律講座