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作成日:2009年11月25日_記事番号:T00019430
産業時事の法律講座
第59回 中国語のドメイン名
インターネットのドメイン名で一番右側にある「.jp」などトップレベルドメイン名(TLD)における、英数字以外の文字の使用が10月30日、ドメイン名などを管理する国際組織ICANN(アイキャン、The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)により承認されました。
これにより、ローマ字を使用していない国・地域は、例えば「.中国」「.台湾」などカントリーコードなどのトップレベルドメインについて、登録代理権を取得するため申請を始めました。
中国語ドメインの法的問題
中国語は世界で最も重要な言語の一つですが、ICANNによって中国語ドメイン名の導入が承認されたことが、インターネット技術や応用にとって、どれほど重要なことなのかは、現時点ではまだ不明と言えるでしょう。
ただ、中国語(またはその他の言語)のドメイン名導入による法的問題としては、権利のない者が商標や会社の名称などをドメイン名として登録してしまう、いわゆる「ドメイン名の先取り登録」が考えられます。これは、ドメインネームの使用が始まって以来、多くの企業、特に周知商標の権利者らを悩ませてきた問題です。
先取り登録の懸念
ドメイン名の先取り登録には、2つの問題が考えられます。まず、「.台湾」のようなトップレベルドメインが、台湾の財団法人台湾網路資訊中心(TWNIC)以外の者に代表登録されてしまうという懸念です。実際は、ICANN発表の規定を見る限り、この問題が発生する可能性はゼロに近いのですが、将来的に他者による「台湾」と同じ意味を持つトップレベルドメインの代表登録ができないのかどうかは不明です。
2つ目に、中国語ドメイン名を導入することで、ドメイン名の先取りが横行する、または商標権利者がドメイン名が先取りされることを防ぐため、使用しないドメイン名まで登録するのではないかという懸念があります。
これまでの経緯を振り返ると、この種の問題が発生することも、まずなさそうと言えます。それは、こうしたドメイン名先取り問題解決のために、ドメイン名紛争処理に関する規制が設けられているからです。
この規制によると、悪意をもって、または他者の商標をドメイン名として登録した場合、そのドメイン名を権利者に移転しなければなりません。台湾では毎年、数例から数十例のドメイン名が悪意登録または悪意使用されたとして、権利者への移転を求められています。ここ数年の状況を見る限り、先取り登録者たちは、その行為が何の利益も生まないと気付いているはずです。
ドメイン名紛争処理
現在、台湾でのドメイン名紛争処理は、台北律師公会(弁護士会)、および財団法人資訊工業策進会(資策会)に委託されています。
もし将来、中国語トップレベルドメインの使用が始まり、自社の社名または商標が他者に先取り登録されてしまった場合、弁護士に委託してこれら機構に紛争処理を申請し、登録者に対してそのドメイン名の取消または移転を求めることができます。
自分が商標権者であること、登録者が悪意による登録を行っていることを証明できれば、通常は勝訴できるはずです。
徐宏昇弁護士事務所
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