ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

第53回 オープンソースの法的問題


ニュース 法律 作成日:2009年9月2日_記事番号:T00017636

産業時事の法律講座

第53回 オープンソースの法的問題

 
 オープンソースのソフトウエア、いわゆるオープンソースは、多くのソフトウエアの重要な提供源となっている。現在市場に出回っている多くの製品、アプリケーション、ソフトウエアのほとんどは、オープンソースか、オープンソースを利用、改良してできたソフトウエアを含んでいる。

 オープンソースを使用する利点は、ソフトウエアの開発費とライセンス費用を抑えられることだ。また、広く使用されているオープンソースは、その評価も公開されているので、デバッグの費用も抑えられる。

 しかし、オープンソースコミュニティーの規定では、他者のオープンソースを利用した場合、自らのソフトウエアもオープンソース、即ち「新オープンソース」としなければならないとされている。このような規定は、他者のオープンソースを使用する場合には問題とならないが、新オープンソースを含んだソフトウエアを購入するメーカー、またはそのメーカーの製品を購入するユーザーにとっては、リスクをはらんでいる。

 メーカーにとっては、他者の提供するアプリケーション、またはソフトウエアを自らの製品に使用することで、将来そのソフトウエアの内容を公開し、他者に自由に使用させなければならなくなるというのは受け入れ難いことだ。このため、これまで多くのメーカーは、アプリケーション、ソフトウエア、およびハードウエアの提供者によるオープンソース使用を禁じていた。

オープンソースの担保約款

 しかし、オープンソースが広く使用されるようになったことで、その使用を完全に禁止することはほぼ不可能となった。そのため、メーカーが他者からソフトウエア、またはハードウエアの提供を受ける際には、自らの権利を守るため、オープンソースに関する担保約款を制定するようになった。

 通常、このようなオープンソースの担保約款では、提供されるソフトウエア、またはハードウエアにオープンソースが含まれる場合も、購入メーカーはソースコードを公開しなくてよい、または製品に含まれるソフトウエアを他者に提供しなくてよいとされている。

罰金か賠償で問題解決

 しかし、たとえ契約にこのような担保約款が含まれていても、提供者の契約違反に対しては罰金か賠償が科されるだけのため、完全な抑止力は期待できない。ただ、逆に言えば、自らの製品にオープンソースが含まれていたとして、他者の参考、使用のため公開しなかったとしても、著作権の侵害には当たるが、最終的には罰金か賠償で済むということだ。というのは通常、被告は提供されたアプリケーションにオープンソースが含まれていたことを知らなかったと主張できるからだ。

 このように、オープンソース担保約款には一定程度の効果が認められる。メーカーは契約締結時に、このような約款を設けるべきといえよう。


徐宏昇弁護士事務所
TEL:02-2393-5620 FAX : 02-2321-3280
MAIL:hubert@hiteklaw.tw

産業時事の法律講座