ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

第49回 違約金の酌量


ニュース 法律 作成日:2009年7月8日_記事番号:T00016456

産業時事の法律講座

第49回 違約金の酌量

 
 台湾の公共工事または政府調達案件は、たいてい遅延を免れません。そして、政府調達機関やコンサルティング会社の能力不足が原因であっても、メーカーが遅延の責任を追及されることに変わりはありません。

 台湾では公共工事が遅延した際、メーカーが遅延日数を基に計算した「違約金」によって責任を取らされるのが慣例です。1日当たりの違約金は通常、契約金額の千分の一から千分の三で計算されます。違約金の上限が設けられている契約もあれば、上限の無いものもあります。

 工事が完成(または完成せずに発注者が契約を終了)した後、発注者と受注者の双方の契約者は違約金の計算を行います。違約金額が高額過ぎる場合、メーカーは民法の規定に基づいて金額の「酌量」を裁判所に主張できます。大部分のメーカーが酌量を求めますが、すべてが認めてもらえるわけではありません。

 台湾の最高裁判所の見解によると、違約金が高額過ぎるかどうかは以下の3点を根拠に判断されます。

1)一般客観的事実
2)社会的経済状況
3)当事者の受けた損害

 第1点と第2点は非常に抽象的なため、弁護士に多くの主張を行う余地を与えています。しかし、第3点は比較的明確なため、認定が容易です。裁判所は通常、公共工事をめぐる多くの紛争において、発注者の受けた損害によって違約金が高過ぎるかどうかを認定します。

20%が上限の目安

 行政院公共工程委員会が公布した調達契約要項は第45項で、違約金は調達契約総額の20%を上限とすると規定しています。この規定をそのままあらゆる公共工事契約に適用することはできませんが、特定の案件で算出された違約金総額が、契約総額または調達金額の20%以下であれば、裁判所は通常、高額とは認定しません。逆に、違約金額がその水準を超えた場合、裁判所は多くの案件で20%またはそれ以下に酌量しています。メーカーにとってはこの数値が違約金の参考値となります。

 裁判所はまた、1日当たりの合理的な遅延罰金は契約総額の千分の一と、多くの案件において認定しています。こうした見解も工事に関する紛争解決の参考になるといえるでしょう。

徐宏昇弁護士事務所
TEL:02-2393-5620 FAX : 02-2321-3280
MAIL:hubert@hiteklaw.tw

産業時事の法律講座