「切干大根とひじきがうまいんだよな」。関根さんがメニューを広げながらつぶやく。週2回のペースで通うという小鶴の魅力、それは「家庭の味」だと語る。
関根総経理と陳ママ
関根さんのオーダーは切干大根、ひじき、辛子明太子。筆者は里芋の煮つけ、漬物(自家製)、焼き鳥、砂肝で計7品だ。ビールを一口いただいたところで、切干大根とひじきがテーブルに並ぶ。切干大根といえば夕食の献立にたまに登場するおかず程度の印象だったが、海外の料理店でいただくと懐かしさがこみ上げる。ひじきはゴマをまぶして油でいためられていて、れんこんのシャキシャキ感が際立つ。
次に辛子明太子と里芋の煮つけが登場した。「ここの辛子明太子はいける」と関根さんがイチ押しするだけあり、文句なしの新鮮さだった。筆者は明太子の本場、福岡生まれだが、日本の明太子と何ら遜色(そんしょく)がなかったと感じた。
里芋はタコと一緒の煮つけだ。タコのだしとゆずの香りの相性が絶妙で、一口食べると何とも優しい味が口いっぱいに広がる。お酒も進む。ビールに続いて熱々のひれ酒で胃袋を満たした関根さんは、「日本にいるような錯覚に陥る」と満足気だ
「まさに家庭の味なんだ」
続いて出てきた漬物は、一目見ただけで自然の色だということが分かった。味も予想通りの薄味。薄味はすべての料理に共通で、「まさに家庭の味なんだ」と関根さん。これは、ママの陳さんがかつて山梨に15年住み、日本の家庭の味に深く通じていることが大きい。関根さんの会社の本社も山梨のため意気投合し、常連客になった。
今回は特別に裏メニューである赤カブの漬物をいただく。薄紅色の赤カブの漬物は酸味とみずみずしさでやみつきになりそうな味で、あっという間に平らげてしまった。その後、「ちょっと食べてみる?」とママがサービスしてくれたのは宜蘭産のトマトだ。3~4月が旬といい大振りで、塩をふってシンプルにいただく。「これはうまい。農家をやっていた実家(北海道)の朝摘みの味とそっくりだ」と関根さんがうなる。筆者も、台湾で食べたトマトで初めておいしい!と思えた味だった。
小鶴は、家庭の味が恋しくなった時に行くべきお薦め店と言えるだろう。開店11周年を記念し、4月15~18日、ボトル1本につきもう1本をおまけするサービスキャンペーンを行う。
(取材/ワイズコンサルティング 七沢愛果)
小 鶴
住所:台北市林森北路159巷38号1楼
電話番号:02-2563-7808
02-2543-4987
営業時間:昼11時~14時
夜17時半~24時