第17回はダイニングバー「ただいま」をご紹介します。案内役は台湾三豊儀器の堤佳夫総経理です。
堤総経理(左)と太田オーナー(右)
グルメの激戦区である台北市忠孝敦化駅周辺の一角で、焦げ茶を基調とした一軒家風の建物から暖かな光が漏れている。一歩中へ入ると「お帰りなさい」とスタッフ全員の元気な声で迎えられた。
堤さんは知人の紹介で今回初めて「ただいま」を訪れた。半個室に通され、丸テーブルの掘りごたつに腰を下ろす。まずは生ビールで乾杯。料理はお任せでお願いした。
一品目は、まぐろの洋風南蛮漬けだ。薬味の青じそが初夏の清涼感を演出する。続いて、美しく盛り付けられたホタルイカの三杯酢がテーブルに並んだ。これはメニューにはない一品なのだそうだ。今が旬の富山産のホタルイカ、鮮やかな緑色のオクラ、大根おろし、ねぎでさっぱりといただく。ホタルイカは堤さんの好物で、「おいしい」と満足気だ。続いて北海道産のアンコウを使ったあん肝のもみじおろし和えだ。
オーナーの太田隼人さんがごあいさつに見えた。昨年10月に来台し、今年4月に「ただいま」をオープンさせた。飲食コンサルタントとしての経験を生かし、食材の調達法から内装まですべて自身で手掛けた。
ホタルイカの三杯酢
「ここは玄人受けする店だ」
大きな器に盛られた手作りおでんが並ぶ。大根、こんにゃく、厚揚げはしっかりと味がしみ込み、がんもやつくねなどの具もあっさりといただける。続いて、外見はふろふき大根にも似た長芋の田舎煮。「山芋をこんな調理法で食べたのは初めて」と堤さん。太田さんが日本からスカウトしてきた料理長、青木穣さんの独創性が光る技だ。牛肉豆腐、鶏の唐揚げ、フランス産ラムチョップの味噌漬けと続く。「ここは玄人受けする店だ」と堤さんがつぶやく。最後はセロリと大根の漬物でしめた。
ダイニングバーと銘打つだけあり、焼酎、日本酒、そして自家製果実酒も充実している。果実酒は、りんご、リュウガン、グレープフルーツ、レモン、白ブドウ、パイナップルなど10種以上あり、1杯130元程度だ。ちょっと気になる梅酒は現在熟成中とのこと。堤さんはグレープフルーツ、筆者は白ブドウをいただく。のど越しがよいため、ついつい飲み過ぎてしまいそうになるほど。心地よいジャズの音色と果実酒ですっかりくつろいだ気分になる。
お店を出るときに、玄関を振り返りながら「応援したくなる店だね」と堤さんは語った。オープン間もないが、予約なしでは入れなくなるのも時間の問題だと心配している。すし、刺身、天ぷらなどの日本料理に飽きた人が、「こういう店を待っていた!」とうなること請け合いだ。
(取材/ワイズコンサルティング・七沢愛果)
ただいま
住所:台北市忠孝東路四段216巷27弄17号
電話番号:02-2711-7399
営業時間:月~木 18時~1時(金土は2時まで、日曜定休)
手作りおでん