「ミスター・ターダ!」。多田さんが知人に連れられて初めてLa Giaraを訪れた際、とても懐かしい顔に出会った。約5年ぶりに再会した相手はこの店のマネジャーのサルバトーレさん(在台15年)。実は多田さんが15年前通っていたイタリア料理店で働いていた方で、久々の再会にもかかわらず名前を覚えていてくれたことに驚きとうれしさを感じ、店に通い始めた。
多田総経理(左)とサルバトーレ氏
台北市復興南路沿いにある2階の店は、テーブル席がほどよい距離感で配置されている。お住まいが近いこともあり、土日のブランチや特別な日のディナーで週1回ほど来店する。特に「オンとオフのスイッチを替えたい」という週末にはぴったりのお店なのだとか。時間がゆったりと流れ、焦げ茶を基調とするシックな内装、音楽、欧米人の会話の響き、行き届いたサービスなども心地よい。「食事の前にまず視覚と聴覚が満たされる」と多田さんは語る。
今回のランチの取材では、セットメニューではなく、多田さんお薦めのメニューを選んでいただいた。オーダーしたのは、ほうれん草のサラダ、イカの詰め物、ほうれん草のパスタ、生ハムのピザ。仕事から解放される時間にはまだ早い。ワインを遠慮し、炭酸水「ペリグリーノ」でのどを潤す。
サラダは日本人の口にも合うごま油風味のドレッシングで、ほうれん草独特の渋みが全く感じられなかった。続いて多田さんがよく注文するというイカの詰め物がテーブルに並んだ。オーブンで焼いたイカの中に、エビ、白ワイン、オリーブオイル、ケッパー、パン粉などが詰めてある。ほんのりと酸味があり、あっさりといただける。食感はおからにも似ている。
サラダとイカの詰め物
多田さんによるとパスタはイカ墨がお薦めだが、今回はほうれん草をすりつぶした自家製パスタをオーダーした。幅2センチほどのコシのある麺で、エビやホタテなど海鮮と一緒にいただいた。サルバトーレさんもシェフのアントニオさんもシチリア出身で、メニューに海鮮が多く使われているのも納得だ。
極薄にスライスされた生ハムのピザは、生地が厚過ぎず薄過ぎず、パリパリではなく、少しもちもちとした食感だった。生ハムはイタリアの本場パルマから輸入しており、ほどよい塩味がトマトソースの酸味に良く合う。素材を生かしたシンプルな味はどれも主張し過ぎず、あっという間にお皿が空っぽになった。
「イタリアの職人気質を感じる」
サルバトーレさんがわれわれの席にやって来た。多田さんが来店する楽しみの一つはサルバトーレさんとの会話だ。陽気で気さくな人柄と笑顔にすっかり魅せられている。2002年の創業以来、「心地よさ」と「品質」をモットーにしてきており、「イタリア人の職人気質を感じます」と多田さん。
デザートはティラミス、アーモンドケーキのアイスクリーム、チョコレートケーキの3種をいただく。アーモンドケーキはシチリアで有名なお菓子だそうだ。時計をみると2時半。まさに時間を忘れさせるひとときだった。
コース料理はランチが550~890元、ディナーが1,800元から。忙しい人ほど、ゆったりとした時間を取り戻せそうな気がする。気分をリフレッシュさせたいという人にもお薦めの店だ。
(取材/ワイズコンサルティング・七沢愛果)
La Giara
住所:台北市復興南路1段352号2F
電話番号:02-2705-0345
営業時間:ランチ 12時~14時 ディナー 18時~23時半
生ハムのピザ