台北市の長安東路と伊通街の交差点から一つ奥の通りに、イタリア料理店のような洗練された中華の店がある。比較的こじんまりとした店内には、テーブル席が適度な感覚で並んでいる。
メニューは写真付で、日本語が並記されているため、選びやすい。
上田総経理(右)と葉さん(左)
オーダーしたのは、カニみそ入り豆腐煮込み(280元)、エビとマコモの揚げ物(280元)、豚の角煮(280元)、鶏肉の東安風炒め(200元)、百合根とアスパラの炒め物(200元)の5品。このほか、マーボー豆腐や酢豚、ホイコーロー(各200元)など日本人にもなじみのあるメニューもある。四川や湖南、客家など幅広い中華を楽しめそうだ。飲み物は、上田さんがイタリア産の白ワインを持参してくれた。持ち込み料は300元だ。
和洋中の食を融合
上田さんが「尚月」を訪れたきっかけは、同店のブログを偶然見つけたことだった。仕事帰りに男ばかりで一杯という雰囲気ではなく、観光客が団体で来る場所でもない。白を基調とした内装や美しい盛り付けから、「肩ひじ張らない出張者や親戚などが来台したときに紹介できる」と雰囲気を買っている。
早速、カニみそ入り豆腐煮込みが出てきた。瓶詰めなどではなく、本物のカニみそを使ったとろみソースと柔らかい豆腐の食感が絶妙だ。カレー粉のスパイシーな香りが味を引き立てる。「これはご飯が進みそうですね」と上田さん。エビとマコモの揚げ物は、塩漬け卵の黄身がまぶしてあり、まろやかな味に仕上がっている。
カニみそ入り豆腐煮込み
続いて、鶏肉の東安風炒め。ショウガと酸味の効いたさっぱり味で、どこかタイ料理にも通じるような一品だ。そして見た目にもボリュームたっぷりの豚の角煮。白い皿にこげ茶色の豚肉とチンゲンサイの鮮やかな緑が映える。歯ごたえ十分の肉ととろけるような脂身が口の中で一つになる。銀糸巻はその名の通り、細長い糸でくるくる巻かれたような形をしたパンだ。ほのかな甘みが癖となり、ついついほお張ってしまう。料理はすべて、真っ白な皿の上に載せられていた。「やはり盛り付けがいいですね」と上田さん。
最後にさわやかな笑顔が魅力のオーナーシェフ、葉耀宗さんにお話を聞いた。湖南料理の店で修行を積み、「尚月」は昨年9月にオープンを果たしたということだ。和洋中の3つの食を融合させた新しい料理をこれからも創り出したい、と熱く語ってくれた。
(取材/ワイズコンサルティング・七沢愛果)
尚 月
住所:台北市松江路63巷16号
電話番号:02-2508-4169
営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00(日曜不定休)
豚の角煮