第24回は高雄編です。本格的な日本料理店が少ないと言われる高雄で、日本人駐在員から圧倒的な支持を受ける日本料理「和(かず)」をご紹介します。案内役は台湾中外炉工業の道須通央総経理です。
道須総経理(左)と柴田料理長(右)
和は昨年10月に開店したばかりで、新鮮なネタと日本の味付けを忠実に再現しており、高雄で最もおいしい日本料理店の一つになった。料理長、柴田剛さんの気さくで親しみやすい人柄もあり、仕事帰りにふらっと立ち寄る日本人も多い。道須さんは南部独特の甘い味付けに食傷気味だったところ、知り合いから和を紹介してもらったという。「甘味の日式が多い中、ここの味付けは貴重な存在だ」と話す。注文したのは、活締めハタの薄造り、手羽先、ふぐと白菜のポン酢サラダ、鯖ずし、土手煮、漬物、子宝ヨーグルト酒など。手羽先、土手煮のほか、みそ煮込みうどんなどのメニューは名古屋出身である柴田さんならでは。おまかせは1,500台湾元からだが、メニューが多いので、日本人客は単品で頼むことが多いという。本日のおすすめだけでも約30種ある。
ハタの薄造り
まずは見た目も美しい東港で捕れたハタの薄造りが並ぶ。「さっきまで生きてたんですよ」と柴田さん。すだちともみじおろしでいただくハタは、歯ごたえが抜群だ。土手煮は大根に赤みその味がしっかり染みている。漬物はみそゴボウやあさりのしぐれ煮など愛知県からのお取り寄せだ。ふぐと白菜のポン酢サラダは、スライスした白菜の芯と、ふぐのコリコリ感が見事にマッチする。
柴田さんは名古屋のふぐ専門店で修業した経験を持つ。手羽先は表面がぱりっとし、中は鶏肉の食感を残してある。ほんのり甘辛いたれで、病みつきになる一品だ。しょうゆ、みそ、塩や特製のたれはすべて日本から取り寄せているが、たれは弟さんご夫婦が名古屋で営む店から取り寄せ、継ぎ足し、継ぎ足し使っているという。
鯖ずし
最後に鯖ずしを頼んだ。新鮮なサバを使い、日本の昆布と青じそが清涼感を醸し出している。「この鯖ずしを食べるためだけに、来店する日本人の方もいるんですよ」と柴田さん。夜は来店客の8割が日本人だ。
隣の日本人客に勧められ注文した子宝ヨーグルト酒(1杯180元)は、山形のお酒で、日本でもなかなか手に入らないそうだ。半分凍った状態のシャリシャリとしたのど越しと甘みは、女性にも喜ばれる味だ。
子宝ヨーグルト酒
人情の街、肩書き外し気楽な付き合い
高雄は人情味あふれる街として有名だが、温かな触れ合いは台湾人だけでなく、日本人社会にも浸透している。せっかく高雄に来たのだからと、会社や肩書を外して気楽な付き合いを楽しんでいるように見受けられる。
台湾高速鉄路(高鉄)の開通で台北からの出張は日帰りで済ませる駐在員も多いが、高雄に滞在する際は、ぜひお立ち寄りいただきたい。カウンターで隣に座った人と二次会に流れるということも多々あるそうだ。
(取材/ワイズコンサルティング・七沢愛果)
和(かず)
住所:高雄市苓雅区仁義街2-3号
電話番号:07-331-6655
営業時間:昼11時半~14時
夜17時半~22時(月曜定休)