今回は台南の牛肉湯(スープ)の店、阿裕牛肉湯をご紹介します。案内役は超浄精密科技の大塚寛総経理です。
大塚総経理(中)とオーナー夫妻
阿裕牛肉湯は庶民的な店構えだが、おいしい牛肉湯が評判を呼んで連日多くの人で込み合う開業17年の地元の人気店だ。政財界の人たちもよく訪れ、大塚さんもここ1カ月の間に陳菊高雄市長や奇美電子(CMO)の王志超総経理に遭遇している。陳水扁前総統と蘇煥智・台南県長が来店したときの写真も飾ってある。かの王貞治・福岡ソフトバンク会長も訪れたそうだ。場所は台湾高速鉄路(高鉄)の台南駅から車で10分だ。
大塚さんは1カ月に1度程度の頻度で社内のスタッフや友人らと来店する。ここの牛肉湯は一般のものと違い半透明のスープに新鮮な牛肉をしゃぶしゃぶのように湯通しして食べるのが特徴だ。とろとろの肉がおいしい魯肉飯は食べ放題だ。われわれは牛肉湯と牛舌の塩焼きを注文した。まずは台湾ビールで乾杯。
次にスープをいただく。牛肉麺(めん)のような八角の臭みはなく、200キロの牛肉と13種類の野菜と果物を8時間煮込んで取っただしは日本人の口にも合うこと請け合いだ。
牛肉湯
店頭で牛肉の塊を真剣な表情で切っていたオーナーが牛のウンチクを熱く語り始めた。牛肉は彰化県産の雌牛で、新鮮さにこだわっており、処理後10時間以内のものしか出さない。また、安全性を確保するため、獣医に1頭1頭異常がないかを診断させている。
皿の上に盛られた牛肉が出てきた。オーナーが「しゃぶしゃぶと同じ。鍋に入れて1、2、3ですくって食べればいいのよ」と教えてくれる。まだ赤味がかった状態だが、「新鮮だからこのくらいで充分だ」と自信たっぷり。しょうがと豆板醤のたれをつけていただく。なお、肉は部位によって切り方を変えて、おいしさを引き出しているとのことだ。
20分煮込む絶品の雑炊
総勢10人の台湾人常連客が隣の円卓を囲んでいる。1人の初老の男性が流ちょうな日本語で「ここは雑炊がおいしいんだ」と熱く語る。余ったスープの中に包丁でたたいた牛肉と米を入れてとろとろと煮込む。日本人の感覚では、鍋のあとにご飯と卵、ねぎ、しょう油をさっと入れてかき混ぜれば出来上がりだが、この店ではじっくり20分もかけるのだ。
雑 炊
出来上がった雑炊を1皿分けてもらった。とろりとしてコクがある。これは絶品だ。初老の男性が満足げににやりと笑う。20分待ってでも食べたい一品だ。
お勘定は3人でたっぷり食べて約1,800元。台北からの日帰り出張でふらりと寄れば、おいしい牛肉湯に舌鼓を打ちつつ、オーナー夫婦の気さくな人柄や、常連客との会話も楽しめるかもしれない。
(取材/ワイズコンサルティング・七沢愛果)
阿裕牛肉湯
住所:台南県仁徳郷中正路一段525号
電話番号:06-266-8816
営業時間:7:30~13:30、17:00~1:30