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第9回 源泉税に関する取り扱いについて


ニュース その他分野 作成日:2009年10月21日_記事番号:T00018707

KPMG 分かる台湾会計

第9回 源泉税に関する取り扱いについて

 
 最近、財政部より、中華民国源泉所得の認定に関して、新たな通達が公表されました。中華民国源泉所得の認定は源泉税の支払いに影響を与え、皆さまの関心の高い項目となっておりますので、今回はこの通達の内容について取り上げてみたいと思います。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。
 
【今回のポイント】
従来、中華民国源泉所得(源泉税の対象所得)にあいまいな部分がありましたが、当通達の公表により、その明確化が図られることになりました。
 
新通達の公表
 
 2009年9月3日に、財政部より、中華民国源泉所得に関して、新たな通達が公表されました。この通達では、中華民国源泉所得を定めた所得税法第8条の各項内容にかかわる認定原則が制定されています。この通達の目的は、中華民国源泉所得の認定方法を具体的かつ明確にすること、具体的な取引による所得が中華民国源泉所得に属するか否かについて明確にすることなどとなっています。
 
新通達の内容
 
 新通達のポイントは、下記の4点となっています。
 
1.役務の「提供場所」を中華民国源泉所得の認定基準とする
 
 台湾外における役務の提供による報酬は中華民国源泉所得に属しません。これにより、例えば、日本で役務提供が行われ、これに対して、台湾から日本へ対価を支払う場合、これに対する源泉税が不要となる可能性があります。一方、役務の提供が台湾内および台湾外で同時に行われている場合などは、当該役務報酬は台湾内における役務の提供による所得として認定されます。
 
2.台湾内および台湾外における貢献度による営業利益の区分
 
 営利事業者が中華民国内において本業である営業項目を経営することにより取得した営業利益について、当該営業行為を中華民国内および海外において同時に行っており、中華民国内および海外における役務提供による貢献度に対する対価にかかわる証明書類を提供した場合、税務機関は中華民国内の営業利益に帰属する所得を認定し、計算します。
 
3.総合業務にかかわる収益の分類
 
 外国営利事業が中華民国内において総合業務(例えば、特許権の使用、役務の提供、設備の賃貸等の各種類所得を含む業務)を提供している場合、税務機関はあらかじめ業務の所得の各種類を確認し、その性質により各所得種類へ分類します。
 
4.関連原価費用の控除
 
 中華民国内において固定営業場所および営業代理人のない外国営利事業が役務報酬などを取得した場合、源泉徴収義務者は、支給額について規定税率により税金を納付するほか、収益を取得した日から5年内に、税務機関へ上記収益に関する原価と費用を控除し所得額を再計算すること、および納付超過の税額の還付を申請することができます。
 
 従来、中華民国源泉所得(源泉税の対象所得)にあいまいな部分もあり、源泉税の課税について、税務当局の裁量に拠るケースもありましたが、当通達の公表により、その明確化が図られております。当通達の適用により、従来、源泉税の納付が必要とされていた取引について、今後は納付不要または納付額が減少する可能性もあります。顧問会計事務所等とも相談しながら、現在源泉税を支払っている取引を洗い出し、当通達の適用の可否についてご検討されることをお勧めいたします。
 
本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。
 
KPMG安侯建業会計師事務所久保田裕
TEL: 886-2-8758-9980

hiroshikubota@kpmg.com.tw

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