最近、営利事業所得税監査準則に改正がありました。当改正が会社の税務に影響を与える可能性もありますので、今回はこれについて取り上げてみたいと思います。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。
【今回のポイント】
営利事業所得税監査準則に改正があり、税務上の減価償却の際の残存価額に関する規定等が変更されました。
今回の改正
営利事業所得税(=法人税)監査準則とは、所得税法のガイドラインの一つであり、その名が示すとおり、国税局による法人税申告書の査定や会計事務所による税務監査の際等に主として使用されます。2009年9月14日に、当監査準則に改正がありました。今回の改正は、財務会計と税務会計の統一化、関連法令の改正との整合性の確保等が契機となっています。今回改正があった主な項目は、以下のとおりです。
これらのうち、一般的に多くの日系企業に影響があると考えられる項目について、以下で説明させていただきます。
a.固定資産化される金額の増額
固定資産の購入または修繕にかかわる支出について、従来、当期の費用として計上できる金額の上限は6万台湾元でしたが、これが8万元へと増額されました。
b.減価償却
残存価額の計算式(定額法および定率法)が削除され、財務会計上の規定と同様、税務上においても会社が独自の状況を考慮して減価償却資産の残存価額を見積もることができるようになりました。また、耐用年数が到来せずに廃棄された固定資産について、税務機関への届け出のほかに、会計士の監査報告書および関連書類をもって認定することも可能となりました。
c.商品廃棄損等
商品等の廃棄損についても、上記の固定資産の廃棄と同じく、税務機関への届け出のほかに、会計士の監査報告書および関連書類をもって認定することが可能となりました。
以上、今回の改正が会社の税務に与える影響につきまして、顧問会計事務所等とも相談しながら検討されることをお勧めいたします。
本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。
KPMG安侯建業会計師事務所 久保田裕
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