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第14回 財務監査と税務監査について


ニュース その他分野 作成日:2010年3月17日_記事番号:T00021526

KPMG 分かる台湾会計

第14回 財務監査と税務監査について

 
 台湾では、会計事務所による監査として、一般に「財務監査」と「税務監査」の2種類があります。それぞれ、どのような目的等を有しているのでしょうか。今回は、これら二つの監査について解説させていただきたいと思います。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。

【今回のポイント】

台湾では、財務監査と税務監査があり、両者は目的等が異なります。税務監査は日本には無い制度で、税務監査を受けると、各種の特典を受けることができます。


財務監査

 財務監査の目的は、会社の財務諸表が、会社の利害関係者(株主、債権者、取引先等)の適切な意思決定に資するか否かを保証することにあります。

 財務監査では、会社の財務諸表が、「一般に公正妥当と認められた会計基準」に準拠して適正に作成、表示されているかどうかについて、公認会計士が意見を表明します。具体的には、各勘定科目の内容および残高の確認、売上・売上原価等の計上が適切であるか否か、各会計処理が適切な管理の下に行われているか等について、証憑(しょうひょう)のチェック、業務担当者へのインタビュー等を実施します。一般的に、決算日から1~3カ月後に監査報告書が発行されることが多くなっています。

 台湾では、払込資本金または銀行からの借入金が一定金額(現在、3,000万台湾元)以上である場合、会社の貸借対照表、損益計算書等について、公認会計士の監査を受けなければならないとされています(会社法第20条)。また、この基準とは別に、親会社からの要請等によって財務監査の実施が必要になることもあります。

税務監査

 税務監査の目的は、営利事業所得税(法人税)の確定申告書の信憑性(しんぴょうせい)を高めることにあります。税務監査は、日本には無い制度です。

 税務監査では、会社の申告書に記載されている所得額等が、税法に従って適切に計算されているかどうかについて、会計事務所が監査手続を実施します。具体的には、各勘定科目について税法に準拠した証憑があるか、交際費等の損金算入限度額計算の検証等が監査手続になります。監査報告書は、確定申告の時期に発行されます。

 税務監査は、税務当局による税務調査の観点から会計事務所が監査を実施するということもあり、税務監査を受けると、営利事業所得税の申告で、以下の特典を得ることができます。このため、通常、在台の日系会社では、大多数の会社が税務監査を受けています。なお、一定の要件(年間売上高が1億台湾元以上等)を満たす場合、法令により税務監査を受けることが義務付けられています。

税務監査を受けることによる主な特典

・欠損金を10年間にわたり繰越控除することができる

・交際費の損金算入限度額が増額される

・税務当局による税務調査が、原則として机上調査のみで終了する

 財務監査と税務監査は、「名称が類似している」、「どちらも会計帳簿について監査が実施される」ことから、混同されることもあるようです。本稿を参考にしていただき、皆さまのご理解が深まれば幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
久保田裕
TEL: 886-2-8758-9980
MAIL: hiroshikubota@kpmg.com.tw

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