ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第12回 台湾におけるIFRSの導入について


ニュース その他分野 作成日:2010年1月20日_記事番号:T00020470

KPMG 分かる台湾会計

第12回 台湾におけるIFRSの導入について

 
 最近、日本においてIFRS(国際財務報告基準)に関する議論が活発になされています。台湾ではどのような動きがあるのでしょうか。そこで、今回は台湾におけるIFRSの導入について取り上げてみたいと思います。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。

【今回のポイント】

台湾においても、まずは台湾における上場または店頭登録会社を対象として、
2013年度にもIFRSが強制適用される予定となっています。


1.IFRSとは

 IFRS(International Financial Reporting Standards、国際財務報告基準)とは、世界的に承認され遵守されることを目的として、IASB(International Accounting Standards Board、国際会計基準審議会)によって設定される会計基準の総称です。現在、IFRSを自国の会計基準として採用している国およびIFRSへの収れんを目指している国は、合計すると既に100カ国以上に及んでいます。日本においても、2015年または16年ごろをめどに、上場企業を対象としてIFRSが強制適用されるといわれております。

2.台湾におけるIFRSの導入スケジュール

 世界的な流れを受けて、台湾においてもIFRSの導入が予定されており、スケジュールについて以下のとおり予定されております。

・2013年以降、上場・店頭登録会社への強制適用を予定
・2015年以降、上場・店頭登録会社を除く公開会社への強制適用を予定
・非公開会社については、強制適用の時期は未定

 これによると、台湾において上場または店頭登録を行っている会社については、日本よりも2年~3年早く、IFRSが強制適用される予定となっております。

3.在台日系企業への影響

 在台日系企業においても、現時点で台湾会計基準に準拠して作成している財務諸表を、IFRSに変更した場合の影響について、早期に把握しておくことの意義はあるかと思います。そこで、台湾会計基準とIFRSの差異のうち、一般的に在台日系企業に影響があると考えられる項目につきまして、以下のとおり紹介させていただきます。

(1)旧制度を採用する従業員にかかる退職給付債務の計上

 旧制度を採用している従業員にかかる退職給付債務に関して、台湾会計基準では、非上場会社であれば、これを負債計上することを求めておりません。一方、IFRSでは、上場・非上場を問わず、負債計上が強制されます。よって、旧制度に関する退職給付債務を有している会社におかれましては、IFRSの導入後、財務諸表に負債が追加計上される可能性があります。

(2)法人税の10%追加課税分の計上時期

 台湾ではすべての会社に、留保金課税(配当しなかった利益に対して、10%の追加法人税が課税される)があります。この追加法人税を会計上において計上する時期につきまして、台湾基準とIFRSでは差異があります。台湾基準では実際に追加法人税を申告する期において当該税金費用を計上するのに対して、IFRSでは発生主義がより徹底され、追加法人税の課税対象になる利益が発生した期において当該税金費用を計上します。よって、IFRSの導入後、法人税の10%追加課税分の計上時期が変わる可能性があります。

 以上、IFRSが適用される時期・適用された場合の影響について、当稿を参考にしていただき、詳細については顧問会計事務所等とも相談しながら検討されることをお勧めいたします。


 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業会計師事務所 久保田裕
TEL: 886-2-8758-9980
MAIL:hiroshikubota@kpmg.com.tw

KPMG 分かる台湾会計