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作成日:2010年2月24日_記事番号:T00021090
KPMG 分かる台湾会計
第13回 台湾における株式会社の役員について
台湾でも、日本と同様、会社法において、株式会社の役員に関する規定が定められています。役員に関する規定は、会社運営の根幹を成すということもあり、会計事務所への問い合わせもよくあります。そこで、今回は、台湾の株式会社の役員に関する制度を解説させていただきます。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。
【今回のポイント】
台湾でも、会社法等において、取締役、取締役会、監査役に関する定めがあります。大きな枠組みは日本と類似していますが、細部については異なる部分もあるため、留意が必要です。
1.取締役
台湾での株式会社(股份有限公司)は、取締役(董事)を設け、登記する必要があります。会社法(公司法)における規定のポイントは、以下のとおりです。
・取締役の人数は、少なくとも3人が必要
・取締役は、株主総会において選任される
・取締役の任期は、3年を超えることができない。ただし、再選再任することは可能
・取締役の報酬を定款で定めていない場合、株主総会の決議をもってこれを定めなければならない
・取締役会は3分の2以上の取締役の出席および出席した取締役の過半数の同意によって、1人を代表取締役(董事長)に選任しなければならない。また、定款の規定に基づいて、同一方式により、1人を副代表取締役に選任することができる
2.取締役会
取締役会(董事会)についても、会社法に定めがあります。株主が一社の場合(台湾現地法人が100%子会社である)、株主総会に代わり取締役会がその権利を行使します。なお、台湾においては、取締役会の開催頻度について、特段の規定はありません。
・取締役会を招集するには、開催日より7日前に、各取締役に対して招集の理由を記載した通知をしなければならない。ただし、緊急な事由がある場合は、何時でも招集することができる。また、取締役会はテレビ会議の方式でも開催することができる
・取締役会の決議は、別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数が出席し、その過半数の同意をもって行わなければならない
3.監査役
監査役(監察人)に関しては、以下のとおりです。なお、監査役も登記事項となります。
・監査役は、少なくとも1人が必要
・監査役は、株主総会において選任される
・監査役の任期は3年を超えることができない。ただし、再選再任することは可能
・FIA会社(Foreign Investment Approval、外国人投資条例に基づき経済部より許可を得ている外国投資会社)であれば、監査役は日本に居住していてもよい。
以上、大きな枠組みとしては、日本の制度と類似していますが、細部については異なる部分もあるので、留意が必要です。台湾での役員に関する規定については、本社からの問い合わせも多いかと思います。先ずは本稿を参考にしていただき、詳細については顧問会計事務所等とも相談しながら検討していただけますと幸いです。
本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。
KPMG安侯建業聯合会計師事務所
久保田裕
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