【2位】新型インフルエンザ流行、死者33人に
新型インフルエンザ(H1N1)は台湾でも広い範囲で感染が拡大し、社会と経済にさまざまな影響を及ぼした。12月25日現在、死者は33人に達した。
ワクチン接種後にめまいや吐き気などの症状が多発しているほか、妊婦や児童が死亡するといった事例も発生しており、副作用に懸念も出ている(中央社)
台湾で初の感染者が報告されたのは5月下旬で、交通機関関係者のマスク着用や、量販店、百貨店で入店者に検温が実施されるなど予防強化が進められた。
世界的な感染拡大を受け、旅行業界では6月、海外旅行やホテルなどでキャンセルが相次ぎ、中国人観光客の来台者数もほぼ3分の1に激減した。
その後も感染者数は増加を続け、7月31日には初の死亡例が確認された。さらに8月に入って集団感染が相次ぎ、下旬には4日間で3人が死亡する事態となり、行政院衛生署疾病管制局は「既に大流行期に入った」と宣言した。
学校・企業で厳戒体制
こうした中、新学期を迎えた小中高校では、登校時の検温や、児童・生徒の体調管理を徹底するなど予防体制の強化に努めた。企業もマスク着用の奨励や体温計・消毒アルコールの設置、また大規模な展示会では入り口に赤外線温測定機が導入されるなど対応に追われた。
その後も感染例・死亡例の増加は続いたが、流行が長期間にわたることもあり、当初のパニック状態からは落ち着きが取り戻された。来台旅行客数も1~9月累計で前年同期比11.5%増とプラス成長になった。
11月1日には新型インフルの無料ワクチン接種が台風8号(アジア名・モーラコット)による水害被災者からスタート、その後12月12日には全住民へ対象が拡大された。
【3位】戦後最悪の不況、雇用を直撃
今年通年の域内総生産(GDP)成長率は第3四半期まででマイナス5.67%、通年予測値はマイナス2.53%で、金融危機に端を発した世界的不況の影響を受けて戦後最悪のマイナス成長を記録することが確定的となった。
台湾はGDPの63%(2008年)をハイテクをはじめとした輸出産業が占めているが、世界不況によって1月の輸出額の前年比減少率は過去最悪の44%を記録。以後10月まで前年比マイナスが続いた。業績の落ち込みを受けて企業が人員削減や無給休暇などの措置を実施し、雇用に大きな影響が出た。無給休暇の対象となった企業従業員は、最悪時の3月初旬で約23万9,000人に達した。失業率も8月に過去最悪の6.13%を記録した。一方、台湾は問題銀行の処理がおおかた終わっていたこともあり、欧米でみられたような金融機関の破綻や再編などは起きず、金融システムに動揺はなかった。
なお、激しい落ち込みに見舞われた電子・家電業界では中国の「家電下郷」など内需拡大政策が受注回復の端緒となり、台湾業界にとって中国市場の重要性がかつてなく高まったことが認識される機会となった。
世界経済の回復に伴い、各経済指標も年間を通じて段階的に改善し、第4四半期の経済成長率は6.89%と、2008年第2四半期以来のプラス成長が予測されている。