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作成日:2010年10月20日_記事番号:T00026001
KPMG 分かる台湾会計
第21回 デビット・ノートを税務上の費用または損失の証憑とすることができない旨について
海外の業者から発行されるデビット・ノート(Debit Note)の取り扱いについて、このほど、国税局の見解が出されました。今回は、当内容について取り上げたいと思います。
【今回のポイント】
海外の業者から発行されるデビット・ノートについて、税務上の費用または損失の証憑(しょうひょう)とすることができない旨が、改めて国税局により確認されました
営利事業所得税(法人税)の確定申告上、デビット・ノートを費用または損失の証憑とすることができるか否かについて、財政部は1983年に解釈(デビット・ノートを税務上の費用または損失の証憑とすることはできない)を行っていましたが、実務上においてはまだ争いがよく生じておりました。
この点に関して、2009年12月に、中華民国公認会計士公会から国税局に対して、デビット・ノートを税務上の費用または損失の証憑とすることができるかどうかについて解釈を求めたところ、国税局は2010年8月30日付の通達により、デビット・ノートを費用または損失の証憑とすることはできないという解釈を明確にしました。
デビット・ノートに関する公認会計士公会の照会内容および国税局の回答は次の通りです。
公認会計士公会の照会内容:
近年、世界各国の業者は、台湾内の業者に対し、「『インボイス」と『デビット・ノート』は、商業貿易上は同じ効力を有する書類で、二者に記載されている内容は同様である」ことを理由として、デビット・ノートのみを提示することが多いため、中華民国内の業者が税法の規定に従い、インボイスの提示を改めて求めることが必要になるケースが多々発生しており、台湾内の業者と世界各国の業者の作業が煩雑になっている。このため、デビット・ノートを税務上の費用または損失の証憑とすることに関する解釈を国税局に求める。
国税局の回答:
デビット・ノートは、値引き、売掛金債権等の支払いを要請する通知で、正式な証憑ではなく、海外インボイスに記載されている内容、様式と全く類似しているものではなく、法律上の効力も異なるため、これを費用または損失の証憑とすることはできない。(下記通達ご参考)
上記のとおり、国税局からの当回答に従うと、海外の業者から発行される「デビット・ノート」については、税務上の費用または損失の証憑とすることができず、税務上において費用または損失を計上するためには、海外の業者より「インボイス」を取得される必要があることになります。従来より海外業者から「デビット・ノート」を取得している会社におかれましては、ご留意ください。
2010年8月30日 財北国税審一字第0990245351号(日本語訳-抜粋)
主旨:海外の業者が発行したデビット・ノートを費用または損失の証憑とすることができるか否かの疑義に対する解釈
二、「費用および損失について、証憑を入手していない、もしくは取得した証憑の内容が事実に合わない場合には、認定しないものとする」「……海外代理店からのデビット・ノートは費用または支払請求の通知書である。国際的な慣例により、海外費用の証憑はインボイスでなければならない」との規定が、営利事業所得税監査準則第67条第1項、および財政部1983年4月6日付台財税第32218号通達に定められている。
三、商業インボイスは輸出業者が仕入業者に対して発行した物品販売の内容および価格を証明する取引書類である。UCP600(国際商会第600号出版物)第18条の規定によると、商業インボイスの内容には、1.受益者および申請者の資料、2.金額および通貨別、3.物品、サービスまたは契約履行行為の説明資料が含まれなければならず、関税法第17条第1項所定の輸入通関時の添付が必要な書類となる。
一方、デビット・ノートは値引き、売掛金債権等の支払いを要請する通知である。取引プロセスにおいて相手に、出荷による損失または誤り等の賠償、追加費用などを請求する必要がある場合には、デビット・ノートの発行により対応することができる。税関による関税の課税価格の見積もりに際して、デビット・ノートは関税の課税価格または申告価格の真実性を査定するための証明書類となるが、通関用の正式なオリジナル証憑ではない。
商業インボイスとデビット・ノートに記載されている内容や様式は全く類似しているものではなく、法律上の効力も異なるため、デビット・ノートを費用または損失の証憑とすることはできない。
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