ニュース その他分野 作成日:2010年12月28日_記事番号:T00027456
月間5大ニュース【1位】ECFA締結、中台経済交流新時代に
中台間の初の包括的経済連携協定、海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)が6月29日に調印され、9月12日に発効した。
ECFAの調印文書を取り交わす台湾の江丙坤・海峡交流基金会(海基会)の董事長(左)と中国の陳雲林・海峡両岸関係協会(海協会)会長(右)。ECFAは馬政権の対中交流拡大政策で最大の節目となった(中央社)
ECFAは▽商品貿易▽サービス貿易▽投資保障▽知的財産権保護▽経済協力▽貿易紛争の解決メカニズム──などから成り、このうち商品貿易では、台湾側557、中国側267のアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)対象品目で2011年1月1日に関税の引き下げが始まり、13年に対象品目すべてのゼロ関税が実現する。
馬英九政権がECFAを推進したのは、今年1月の中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)発効をはじめ、FTA網が世界規模で広がる中、台湾の経済競争力の維持・向上を図ることが目的だ。
中国は台湾最大の貿易相手で、2009年の輸出実績は837億米ドル(香港含む)と輸出総額の41%を占めた。今後、中韓FTAの締結も見込まれる中、中国市場での競争力維持は台湾にとって死活問題ととらえられた。また、中国を差し置いて他の主要貿易パートナーとFTAを結ぶことは、台湾の置かれた国際環境から困難だった。さらに、中国に進出した台湾企業に対する投資保障など、中台経済関係で「正常化」を要する課題が存在した。
ECFA締結を受けて、台湾はタイヤ大手の正新橡膠工業が、ゼロ関税化を見越して台湾中部での300億台湾元規模の工場投資計画を策定した。また12月、第一商業銀行や国泰世華銀行が初の中国支店を上海に設置するなど、さまざまな動きが出ている。内需市場が小さく人口が頭打ちの台湾にとって、今後の経済成長の鍵は中国を筆頭とした外部の成長の取り込みであり、この点でECFA締結の意義は大きい。行政院主計処による来年の域内総生産(GDP)成長率予測値は4.64%で、ECFAにより0.4ポイントの押し上げ効果を見込む。
ECFA締結を受けて、シンガポールともFTAに当たる「ASTEP」の締結交渉が来年初頭に始まることとなった。順調にまとまればASEANの他の国への波及効果も期待でき、台湾の国際的地位の向上につながる。
対中交流、ペースダウンも
ECFAに対し野党民進党は、中国による統一戦略を懸念する立場から反対論を展開した。しかし、締結直後に行政院大陸委員会(陸委会)が行った世論調査では、61%が「成果に満足」、59.2%が「台湾経済の長期的発展に良い影響がある」との評価で、民進党の訴えは広まらなかった。
11月の5直轄市長選挙でもECFAは争点にならず、このことから台湾住民におおむね受け入れたれたことが示された。一方で、ECFAに代表される馬政権の対中接近が有権者の不安を招いているのも事実で、同選挙で民進党が過半数に迫る49.87%の得票率を獲得し党勢を回復させた要因となった。過去2年半、対中交流を急ピッチで拡大させてきた馬政権だが、12年3月の総統選挙を視野に来年はペースダウンを図る可能性も指摘されている。
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