ニュース 法律 作成日:2011年2月9日_記事番号:T00028105
産業時事の法律講座智慧財産法院(知的財産裁判所、以下「知財裁」)が2008年7月に設立されてから、2年半がたちました。筆者はこれを機に、2年半の間に知的財産裁判所で下された特許侵害案件の判決傾向をまとめてみました。その結果、知財裁が特許権者を支持する姿勢を強めていることに気付きました。
下の表は2008年7月から10年12月までの(1)知財裁における特許侵害案件の1審判決(2)同2審判決(3)知財裁を含むすべての高等裁判所の特許侵害案件の2審判決──の案件数、勝訴・敗訴数、および特許権利者が敗訴した理由を表にまとめたものです。
注)一部の案件は敗訴理由が2種類以上あります。
また、下の表は10年10〜12月に知的財産裁判所で実質審理後に判決が下された案件についての統計です。「実質審理後の判決」とは、特許の有効性や特許侵害など、実質的な問題についての審理が行われた後に判決が下されたことを指します。
注)一部案件の特許権者の主張には特許権が2種類以上含まれています。
以下、これらの統計から分かったことをまとめます。
・特許権者が1審で勝訴した割合は12.6%、2審では20.4%でした。一方、特許権者が知財裁を控訴の場に選んだ際の2審での勝訴割合は13.9%で、「すべての高等裁判所」での2審と比べると低い割合になりました。
・特許権者が敗訴した案件中、知財裁が「進歩性なし」と判断した割合は1審43.2%、2審42.5%で、「権利侵害なし」の割合も1審43.2%、2審50.6%と、それぞれ全体の半数近くを占めました。
・10年10〜12月の統計になると、特許権者が勝訴した割合は27%に拡大しました。知財裁が特許権者に敗訴を下した理由は「進歩性なし」が35.1%、「権利侵害なし」が40.5%でした。
これらから、知財裁の最近の判決傾向が特許権者に有利となっていることが分かります。例えば、光ディスクメーカーの巨擘科技(プリンコ)とフィリップスの案件では特許侵害を認め、プリンコに対して20億台湾元の損害賠償の支払いを命じています。
多くの特許は知財裁に進歩性または新規性がないと判断されて無効となっていますが、これらの特許はそもそも特許を認められるべきではない、質の低いものだったと思われます。実際に、形式審査しか行われない大量の実用新案が、これらの無効とされた特許の大部分を占めているからです。
また判決理由を見る限り、知財裁は10年下半期以降、十分な自信に基づいて特許の有効性と特許範囲の解釈を行っています。つまり、知的財産裁判所設置当時の「専門裁判官の育成」という目的はどうやら達成されているようです。
徐宏昇弁護士事務所
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