ニュース 法律 作成日:2011年3月9日_記事番号:T00028638
産業時事の法律講座個人情報保護を目的とする個人資料保護法改正が昨年5月26日公布されました。現在施行されている「電脳処理個人資料保護法」に代わるもので、11年6月1日にも施行されると予想されます。
新法・現行法ともに「個人資料保護法」という名称ですが、中身は全く異なります。現行法はコンピューターやインターネットが広く普及する中で、個人のプライバシーが大量かつ瞬間的に侵害されることを防ぐために設けられました。その対象は「電脳(パソコン)処理」された個人データに限られます。また、政府が公布した業種に限り適用されます。
一方、新法は人権保障を主軸とし、あらゆる方法での情報の収集、処理(記録、保存、編集、検索、転送など)、国際間の転送、利用行為が対象です。つまり「電脳処理」によらない個人情報も含まれます。また、適用される業種の制限が撤廃され、政府機関、民間企業、団体、個人だけでなく、海外の政府、法人、個人も含みます。
公開情報は収集可
新法の施行後は個人情報を収集、処理、利用する際、法に反していれば企業、個人を問わず、民事、刑事、行政責任を負わなければならなくなる可能性があります。このため、社会に与える影響は計り知れません。
新法の規定によれば、合法的な個人資料の収集、処理、利用とは、当事者が自ら開示、または既に合法的に公開されている個人資料に限られます。これらは既に保護の必要がなく、収集の際に当事者の同意を得る必要も、処理または利用の際に当事者に通知する必要もありませんが、収集の目的以外で利用できません。
このほかの場合は、個人資料収集の際に必ず収集の目的、収集する情報、その利用方法を当事者に通知しなければなりません。当事者から提供された情報でない場合、処理または利用の際に当事者に対し上記の項目、および資料の出所を知らせなければなりません。
また新法の規定によると、収集された個人情報は正確性と機密性が保護されなければなりません。政府は近く「個人情報檔案安全維護計画」「業務終了後の個人情報処理弁法」を制定し、企業に順守を求めるでしょう。
一般の企業が収集した個人資料は、その特定の収集目的の範囲内でのみ利用できます。また、個人情報を利用したマーケティングは、当事者が拒否した場合、すぐに打ち切らなければなりません。初めてマーケティングする際には、当事者に対して「拒否」する方法を告げ、当事者が拒否するのに必要な費用も負担しなければなりません。
一方、企業による「一般に情報が取得できる出所」からの個人情報収集は、新法では認められています。商業上で最もよく見られるケースでしょう。ですが前述と同様、初めてマーケティングを行う場合には当事者への告知義務があり、当事者が拒否した場合は直ちにその情報を削除、処理や利用をやめなければなりません。
企業の注意点
新法の施行後に企業が注意すべき点は、▽個人資料を収集した出所を証明できるものを保存▽社内で政府の安全維護計画を確実に実行▽初めて個人情報を利用する際には、当事者に対する告知義務を果たす▽消費者または顧客が反対した場合は、直ちに個人情報の利用をやめ情報を削除──などです。
新しい法律が施行された直後は、政府機関、裁判所、産業界いずれも混乱しますが、施行2~3年後には見解の一致が見られ始めます。
新法に違反した際の罰則は、1人、事件ごとに▽500台湾元以上、2万元以下の損害賠償▽2年以下(営利目的でない場合)または5年以下(営利目的の場合)の有期刑▽50万元以下の過料──となっています。企業は十分な注意が必要です。
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