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第31回 過少資本税制調査細則の公布について


ニュース その他分野 作成日:2011年8月17日_記事番号:T00031942

KPMG 分かる台湾会計

第31回 過少資本税制調査細則の公布について

 2011年1月、台湾において過少資本税制が制定・施行され、5月には財政部より過少資本税制調査細則の草案が公表されていましたが、6月22日、本調査細則が正式に公布されました。今回は、本調査細則の内容について取り上げてみたいと思います。

【今回のポイント】

 本調査細則により、過少資本税制にかかる関係者に対する負債の範囲や純資産額の範囲等が明確に示されています。このうち、関係者に対する負債の範囲には、関係者が担保を提供し連帯責任を負うことにより、非関係者から受けた借入金が含まれることが明らかにされています。

 「第29回 財政部による過少資本税制調査細則の草案について」でご案内していましたとおり、2011年5月に「営利事業者の関係者への支払利息の損金不算入に係る調査細則」(過少資本税制調査細則)の草案が公表されておりましたが、その後、6月22日に本調査細則が正式に公布されました。

 本調査細則については、2011年度の営利事業所得税確定申告案件から適用されることとなります。調査細則の条文は全8条で構成され、その要点は以下の通りです。

一.国際間で採用されているセーフ・ハーバー原則(safe harbors)を参照し、営利事業者の関係者に対する負債が純資産額に占める比率の基準値は3対1と規定されています。また、当該基準値を超えた支払利息の損金不算入にかかる計算式を明確に定めています。具体的な計算については、設例をご参照ください。

二.営利事業者に対する負債が純資産額に占める比率を正確に計算するために、関係者に対する負債および純資産額の範囲を以下の通り明確に定めています。

・関係者に対する負債の範囲

 当該細則に称する「関係者に対する負債」とは、営利事業者が直接または間接に関係者から取得した元金および利息の支払い、あるいは利息の支払いと同様の性質を有する支出によって補償される資金を指します。また、関係者に対する負債は以下を含みます。

1.関係者からの借入金

2.関係者を通じた非関係者からの借入金

3.関係者が担保を提供し連帯責任を負うことにより、非関係者から受けた借入金

4.その他、関係者、または非関係者を通じて関係者から取得し、負債性質に属する各種の融資

・純資産額の範囲

1.貸借対照表上の純資産額を指します。

2.純資産額が「払込資本」と、「額面を上回る金額で株式を発行することにより生じたプレミアムに伴い資本準備金に計上した額」の合計額を下回る場合は、払込資本と当該資本準備金の合計額を指します。

3.総機構(本社)が中華民国外にある営利事業者の中華民国内の支店においては、利息を支払う必要のない運営資金を指します。

三.税務行政の簡略化のため、下記のいずれかに該当する場合の負債は関係者に対する負債に算入しないと規定しています。

1.営利事業者が以下のいずれかに該当する場合における、関係者に対する負債

1)当年度に申告した純売上高および営業外収益の合計額が、財政部の規定基準以下

2)当年度に申告した支払利息および第5条における当年度の関係者に対する支払利息が、財政部の規定基準以下

2.営利事業所得税監査準則第97条第7号または第8号の規定により、資本的支出に計上すべき利息に見合った負債

3.営利事業所得税監査準則第97条第9号の規定により、資本的支出に計上すべきもしくは繰延費用に計上すべき利息に見合った負債

4.その他財政部に承認された負債
(ただし、上記の関係者に対する負債に算入しない金額の基準については、財政部が別途定めます)

四.営利事業者は、営利事業所得税確定申告時に、所定様式により関係者に対する負債が純資産額に占める比率および関連情報を開示し、関連する書類を事前に用意・保存しておく必要があります。なお、営利事業者の負担を軽減するため、開示が不要となる要件についても定めがあります(開示が不要となる要件の範囲については、財政部が別途定めます)。

設例:
損金不算入額の計算方法の例:

 仮に11年にA社の調査細則第5条に規定される支払利息の合計額が2,500万台湾元、関係者に対する負債の純資産額に占める比率が4:1(当年度の毎月の平均の各関係者に対する負債の合計額は4億元、当年度の毎月の平均の純資産額は1億元)である場合、調査細則第5条第3項所定の3:1の基準値を超えることとなります。このとき、同条第1項の規定により計算される当年度の損金算入不可の支払利息の金額は以下の通りになります。

 今回取り上げました過少資本税制調査細則の内容につきまして、本稿をご参考いただき、詳細につきましては顧問会計事務所にもご相談の上、皆さまの会社への影響をご勘案いただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所 日本業務組

Mail : yoshikazumatsumoto1@kpmg.com.tw

TEL : 886−2−8101−6666

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