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第32回 会社法の一部改正について


ニュース その他分野 作成日:2011年9月21日_記事番号:T00032653

KPMG 分かる台湾会計

第32回 会社法の一部改正について

 2011年6月、会社法改正案が成立・公布されました。今回は、本改正の内容について取り上げてみたいと思います。

【今回のポイント】
 改正の要点は、「法制管理の強化」、「企業の自治管理の徹底」、「炭素削減という新概念への対応」の各項目です。

1.法制管理の強化

1)解散命令(10条3号の追加)
会社名が使用できないとの裁判所の判決が確定した場合、会社は6カ月以内に会社名の変更登記を行わなければならず、期限内に完了できないものおよび主務機関から期限内に手続きを完了するよう命じられても完了していないものに対し、主務機関は、職権または利害関係者の申請により、解散を命令することができることとしています。当該追加規定により、会社に関連手続きの実施を促すことになります。

2)株式および資本(156条の修正)
公開発行会社が公開発行を中止しようとする場合には、投資者の権利に重大な影響を与えるため、株主総会の特別決議を経なければならないと明確に規定しています。また、公開発行会社が解散、不明な住所への移転、もしくは会社の責に帰さない事由により、証券取引法に規定されている義務を履行できないときは、証券主務機関の管理を徹底するため、証券主務機関は職権によりその会社の公開発行を中止させることができることを規定しています。

3)代理人による出席(177条・177条の2の修正)
株主総会の出席委任状の送達期限および株主の議決権行使手段に係る意思表示の期限を株主総会の開催前日から開催の2日前までに修正しています。

2.企業の自治管理の徹底

1)特別株の回収(158条の修正) 
企業が財政をさらに自由に運用できるようにするため、株主資本に損害を与えないという前提の下、会社が発行した特別株は、「利益または新株発行による株金をもって」回収することができるという制限を緩和しました。実務上、特別株を回収する資金源は、会社が財政状態を勘案し適切な手配を行うべきで、法令によって企業の資金計画を制限すべきではないという理由によるものです。

2)自己株式の譲渡(167条の3の追加)
自己株式を従業員に譲渡する場合、企業は運営管理上の必要に応じて、従業員に対し2年以内に当該株式を譲渡することについてこれを制限することができることを追加規定しています(証券先物取引局によると、この規定は、2011年7月1日以降に自己株式の買収を申告した者に適用されるとされています。すなわち、2011年6月30日以前に自己株式の買収を申告した者については、当該規定が適用されません)。

3)株式消却(168条の修正)
企業がその資産をさらに自由に運用できるようにするため、会社の減資は、現金以外の財産によっても株金として返却することができると規定しています。ただし、株主の権利を保障するため、返却の財産および充当の金額については、株主総会の決議を経た上で、財産を受ける株主の同意を得ることを前提としています。また、当該財産の価値および充当の金額については、公認会計士の監査認証を受けなければならないとされています。

4)株式の発行と引受手順(267条8項の追加)
企業の従業員奨励制度が国際趨勢にさらに適合するよう、公開発行会社が従業員の権利を制限する株式を発行する場合に係る規定を追加で定めています。

3.炭素削減という新概念への対応

1)議事録・会計諸表の承認および送付(183条・230条の修正)
インターネットの普及および炭素削減の対応により、公開情報観測システムを通じて情報を開示する公開発行会社は、当該システムを利用し、議事録、財務報告および利益分配または欠損補てん等の議案の通知を公告の方式で行うことができるようになります。この修正により、紙の使用量が減少するほか、株式関連作業の効率性が高くなり、関連コストが低減することが予想されます。

2)招集通知(204条の修正)
作業を簡略化するため、取締役の招集は相手の同意を得た場合、電子手段により通知することができることを定めています。

 今回取り上げました会社法一部改正の内容につきまして、本稿をご参考いただき、詳細につきましては顧問会計事務所にもご相談のうえ、皆さまの会社への影響をご勘案いただけますと幸いです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
日本業務組

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TEL : 886−2−8101−6666

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