ニュース 法律 作成日:2011年11月9日_記事番号:T00033628
産業時事の法律講座 「還原工程」(リバースエンジニアリング)とは、他者の製品を分析し、使用されている技術を解析することです。その目的は同様の製品、または改良を加えた新製品を製造することにあります。しかし、リバースエンジニアリングを行うことで、他者の技術上の機密だけでなく、回路図、フローなどを知ることができる可能性もありますし、得られた技術を利用して開発した製品は、他者の特許を使用してしまうかもしれません。すなわち、リバースエンジニアリングは他者の知的財産権を侵害する可能性が高いため、業界はその合法性に強い関心を示しています。
リバースエンジニアリングの合法性に関して、最高裁判所が直接的な判断を下したことはありませんが、下級裁判所ではこの問題に関する判断を行った判決がいくつか見られます:
1)2008年3月、台湾高等裁判所:コピー以外にも、リバースエンジニアリングによって、市場に出ている製品の回路図を手に入れることができる。
2)09年4月、台北地方裁判所:製品が公開されたということは、その製品に関する「設計の精神」もまた公開されたこととなる。すなわち、リバースエンジニアリングによって当該技術の内容を知られたとしても、それは法律の保護を受けるものではない。
3)10年7月、知的財産裁判所の判決:法律によって保護される「営業機密」は、他者がその機密の内容を知ることが容易でなく、また権利者が合理的な保護処置によってその機密を維持しているものでなければならない。法律によって保護される営業機密は「絶対の機密」である必要はないが、秘密保持契約を締結したからといって、法律に保護される「機密」となるわけではない。
知的財産裁判所は判決の中で、法律によって保護される営業機密とは「客観的に他者が合法な方法(例えばリバースエンジニアリング)でその内容を知ることが容易ではなく、また権利者が合理的な努力をすることで、当該情報を特定の範囲の人間のみが得ることができる状態が保たれている」必要があることを強調しています。
この知的財産裁判所の判決は上告審で最高裁判所からも支持されましたが、リバースエンジニアリングが他者の技術を知るための手段として合法かどうかについて、最高裁判所は具体的な見解を表明しませんでした。
知的財産権侵害の懸念も
これらのことから以下のことが分かります:
1)現在までのところ、下級裁判所は「リバースエンジニアリング」は他者の製品に使用されている技術を研究するための合法的な方法であると判断しています。しかし、最高裁判所はそれに対して肯定的な意見も、否定的な意見も表明していません。
2)下級裁判所は判決の中で「リバースエンジニアリング」という名称を使用していますが、「どのようなリバースエンジニアリング」が方法が合法、または権利侵害となるのかについては判断を示していません。今後、案件が累積されていくことで、リバースエンジニアリングの方法と目的に関しての具体的な判断基準が示されることとなるでしょう。
3)リバースエンジニアリングは、他者の製品に隠されていた技術を解析します。そして、その技術を利用、改良して製品を生産すれば、法律に違反する可能性があります。つまり、リバースエンジニアリングそのものは違法ではないかもしれませんが、リバースエンジニアリングによって得られた技術を利用することは、他者の知的財産権を侵害することになるかもしれません。
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